ティレルの指摘の通り、ガーターベルトが臀部を上下に通るだけで、アナスタシアはインナーを身につけていなかった。
「こんな場所晒して外歩いてたら。犯って下さいと言わんばかりだろうが。こんなふうに」
ティレルの指が尻の両たぶのあわいに滑り込み、前方に滑り入って、アナスタシアの秘部に無遠慮に触れてきた。
「あッ、ぁ、」
「もう濡れてんのか」
「ッ…ティ、ティレル様が……っ、んぁっ」
最前から胸をティレルにまさぐられた所為で、アナスタシアの体は既に準備を始めてしまっている。
「俺の所為にすんなよ。そんなに男にハメて欲しいのか? ただの淫乱じゃねえか」
「っ、…、……、ぅ……、」
尊厳を傷つけるような言葉をティレルにぶつけられて、アナスタシアの身は竦んだ。
「それで? なんでココを覆いもせずに通りをうろついてたんだ。言ってみろ」
濡れた秘所の中に二本の指を押し込まれて掻き回されながら、ティレルに再度問われる。
「うぅ……、あ、」
羞恥と恥辱に呻きながら、アナスタシアは返答する。
「っ……さ、最初から、履かずに出てきたわけじゃありませんっ……! 一番最初は、ちゃんとインナー履いてたんです……!」
「はぁ? ………!」
後背で、何故か、ティレルの気配に強い緊張が走った。
アナスタシアを穿つ指がひくりと震えて止まる。
「まさか、途中で無くしてくるような目に遭ったのか? 無理矢理男に脱がされるとか、」
アナスタシアの臀部や太腿には傷も手痕もないので、誰にも触られていないと判断していたが、それが勘違いだったかも知れない。ティレルは思わずアナスタシアの秘部から指を抜いてしまう。
「ッ…、うう……、」
『女としての秘密』の部分に該当する話なので、アナスタシアは言いづらさに頬を赤らめて身を強張らせる。
「おい、正直に言え。アナスタシア。………」
場合によっては自分の行為はセカンドレイプに相当する、と危惧したティレルの体の下で、アナスタシアはようやくのろのろと言葉を紡いだ。
「……、インナーは、鋏で切った状態で、家に、あるんです……」
「…………………あ?」
「っ……この服、ストッキングも履きづらかったんですけど、特に、ガーターベルトとストッキングの接合部が、凄く留めづらくてっ……、四苦八苦して、着替えたんです……。それで出がけに、用を足してから行こうと思ったら、ガーターベルトの下にインナーを履いてたから……、留め金を外さないと用が足せないことに気がついて……」
「……………」
「留め金が、どうしても外れてくれなくて。仕方なくインナーを鋏で切って脱いで、どうにか用は足したんです。でもその後も留め金は外れないし、そのままだと新しいインナーも履けないしで、時間だけ経っちゃってっ……ガーターベルトの上からインナー履くのもヘンだと思ったから、諦めて、そのまま出てきましたっ……」
「……留め金が外せなくて、そんでそのままノーパンで出てきたのか?
…………誰かに触られたわけじゃないんだな?」
「っ…ティ、ティレル様だけです…っ、私の、……お尻、とか、大事なところに、触ったのはっ……」
ほうっ、という、安堵の吐息が後背にいるティレルの口から漏れるのがアナスタシアに聞こえた。
やがて、
「っ…、クックック……」
笑いを堪えるような声が頭上から降ってくる。
「もう、そんなになってまで後ついてくんなよ……ホントにな……馬鹿なヤツ」
「あっ」
怒りも緊張も失ったティレルの言葉と共に、手で尻をスルリと撫でられた。
頭を背に寄せられて、ティレルのサラリとした長い髪が、アナスタシアの剥き出しの肩甲骨に触れてくる。
「お前ホントにおかしなヤツだよな……ゼンから聞いたり、リンゼルの屋敷で俺に話した『死に戻り』の記憶を聞く限り、壮絶な人生送って来てんのに」
「ンぅ…」
ティレルの唇が降りてきて、背中にキスを受けた。
「ガキの時期が長かった所為もあるのか知らんが、性的なことに関しちゃほんと凪もいいとこだったよな……『死に戻り』期も含めて、セックスどころかキスでさえ、俺しか知らねえってんだから」
「っあ、」
ティレルの手が胴の前に回され、再び乳房に触れられる。
「っ……ファーストキスはっ…、『今』の、ティレル様じゃありませんっ……!」
子供扱いされた気がして、挑ましげに声を上げてしまうが、ティレルは全く意に介さなかった。
「あんなのキスしたうちに入るかよ。『医療行為』……だっけ?
実のところ、お前は『俺』に逢うまで何も知らなかっただろ。
キスの仕方も、セックスの仕方も、快楽の感じ方も。教え込んでやったのは俺だ。
……お前の『男』は俺だけだ」
「ひゃうっ……」
胸を揉まれながら、項にティレルの唇が当てられ、次いで耳裏までを舌で舐め上げられる。
「なのにお前ときたら。こんな『女』を安売りするような恰好でフラフラと出歩きやがって。商館の奴らに捕まったらどうするつもりだったんだ」
「っちゃんと、逃げ出す算段は、できてました……っ」
「男七人相手にか?」
「………、最初は、五人しかいなかったし、彼らは、戦い方を知ってるふうでもなかったので、……いけた、はずで……、」
途中で王宮騎士二人が現れてしまったのは確かに誤算だったのだ。
後ろからティレルが呆れ声を出した。
「現実対処能力がねえって話をしてるんだろーが。
実際には男は七人いたし、うち二人は騎士で戦闘の専門家だった。お前は『女』どころかてめえの命まで安売りしてたんだぞ」
「うぅ……」
確かにその通りだった。
だが今、この状況でそれを素直に認めるのはあまりにティレルに対し心折れしすぎる気がして、アナスタシアはつい意地を張ってしまう。
「ティ、ティレル様こそ、私の助けがあってせっかく商館から気づかれずに脱出できたのに、戻ってきてしまって、結局あんな派手な喧嘩をっ……」
「そりゃお前がとっ捕まってたからだろうが! まだ口答えすんのかよ。懲りないヤツだな……ちょっとお仕置きが必要だな。尋問は終わりにして、恥辱セックス調教に移行するか」
「えっ……」
ティレルの言葉に不穏なものを感じ、アナスタシアは手首をベッドに括り付けられた俯せの状態で、後背に迫るティレルを振り向いて確かめようとする。だがティレルの両手はアナスタシアの動きを制し、腰骨を掴んで持ち上げ、ティレルの前に剥き出しの臀部を突き出す姿勢を強制してきた。
「さっき指で弄ってる間に充分濡れてたからな。もういいだろ」
アナスタシアの太腿を括った縄をティレルは少しだけ緩める。揃える形で縛られた両足首を、ティレルの膝が跨いだ。
衣擦れの音がして、アナスタシアには、ティレルが服を脱いでいるとわかった。
「まずは縛ったまま後背位な」
ティレルは下肢だけ服をくつろげ、ガーターベルトだけが覆うアナスタシアの臀部を手で捕らえる。
「えっ、や、な、なに、あっ、」
腿を半ば閉じた状態で後背から秘所に竿先を押し当てられて、アナスタシアはビクリと震えた。
「や、やだ、こんな、」
「ほら、もっと尻上げろって」
「ッ……! いや……!」
拘束されて体の自由を奪われたまま獣のように後背から突かれると知って、アナスタシアは声を上げた。
「やめて下さい、ティレル、様……! っ、あぁあッ! やぁっ……!」
くぷ、と音がして、ティレルの竿先がアナスタシアの裡に侵入してきた。
「ふ、お前、口で嫌がってても…こんなに、濡れてるし……、随分、締めるじゃねえか……、っく……、」
「あッ、ぁ……ダメぇ……!」
ティレルはアナスタシアの同意を得ず、どんどん奥深くまで割り入ってくる。
「やだ、やめて、縛るの解いて……ティレル様……! んひっ!」
同意も無く、ティレルはそのままアナスタシアの秘部へ抽送を始めてしまう。
「あっ、やぁ、やめて、っティレル様っ、ンくっ…あぁ……!」
「っ、ふ、夜中にノーパンで出歩くような悪い子にはお仕置きしかねーだろ……、声、上擦ってきたな…? 好きか? 縛られながら、犯られるの、」
快楽に堪えているのか、ティレルが息を詰めながら言い下ろし、腰を軽く捻ってくる。
「ひッ! やだ……す、好きなんかじゃ、ありま…せ……、ひああっ!」
ティレルが触れているアナスタシアの体はどんどん熱が溜まってくる。
のみならず、声の調子と腰の揺れ方で、アナスタシアの官能が高まっていると容易に察せられた。
「へええ? そんな声出してるのにか? だったらもっとよくなるように、中をもっと掻き回してやんないとなぁ」
「ッ、や、だ、やめて、っ動かないで、ッ…ティレル…様……っ、ンやあっ」
捕縛で身動きも取れないのに尻を突き上げた姿勢を強要された上で、ティレルが慈悲も無くアナスタシアの女の場所を繰り返し穿ってくる。
「聞こえるか? この音……お前が感じてる証拠、だろ」
接合部から愛液が多量に溢れ、ぐちゅぐちゅと淫靡な音を立てていた。
「あっ、あ、やだ、こんなのっ、ンぁあ、」
「ふ、よく言うな。こっちの具合はこんなに良さそうなのに」
「ち……が…、あぁ、ふあッ」
緊張でアナスタシアの筋肉は強く収縮し、いつも以上にティレルを締め上げる。
アナスタシアの側にも刺激は伝わり、後背から突かれる都度、己の中にティレルがいることがより強く実感されて、拘束されているにも関わらずアナスタシアの愉悦はどんどんと高まってしまう。
「いやっ、やぁあ……、こんな……やだ…ッ、」
「ふ、は…、こんなに感じまくってるのに否定すんのか?
夜遊び好きの上淫乱、加えて嘘つき。
とんでもない女神様だな。
……いや、ニセモノなんだったけか。
だったら、もうちょっと虐めてやってもいいよなあ」
アナスタシアへの突き上げを続けながら、ティレルは懐から薬瓶を出し、その蓋を開けて、中身の油薬をアナスタシアの尻の上に垂らした。
「ッ、ひ、なに、」
滴った油薬にティレルは指を浸し、濡れた指先で、眼下で露わになっているアナスタシアの後ろの蕾をぬるりと撫でた。
「! ……な、なに、ティレル、さま、」
普段決して触れられぬ場所に刺激を受けて、アナスタシアの心に警戒心が湧き上がる。
緊張で体が強張ると、
「おっ、いいな…また中が締まったぞ……、」
女の場所への抽送と、蕾への慰撫をやめずにティレルが評する。
「気に入ったか? ここ弄られるの、」
「ッ…そんな訳、な……や、触らな、い、で、あぁっ、」
不浄の場所を恋人に見られるばかりか執拗に手で触れられて、アナスタシアの羞恥と屈辱感は酷く高まっていく。
「コッチでも……セックスは、できるんだぜ?」
「! っ……そん…、」
ティレルから言い下ろされた言葉はアナスタシアにとってあまりに衝撃的で、瞬間、何を言われたかも理解できなかった。
「ここを、よぉーく解すとな……、男の竿も、受け入れられるようになるんだ」
「ッ、………! いや……!」
ティレルが自分の蕾に指で触れる、その意図をようやく正しく認識して、快楽の下でアナスタシアは青ざめた。
「やだ……! ティレル様、やめて、お願い……! んひっ…!」
秘所を抉られながら、両手脚を拘束されながらではティレルから逃れようも無く、アナスタシアは半ばパニックに陥る。
油薬に濡れたティレルの指はアナスタシアの蕾を執拗に撫で、その襞の一つ一つに薬を塗り込んでいく。
「まだ全然、堅い蕾だけどな。無理矢理犯ったら、裂けて出血しちまうかもなあ」
「……ッ…! やぁあ……! 触らないで…ティレル様……!」
忌避感と恐怖感が強く、アナスタシアは感じるどころではなくなった。顔を必死で後ろに振り向けて、泣きじゃくりながら必死でティレルに懇願する。
「『色仕掛け』したいって言うんなら、体のこのへんだって使えなきゃどうにもなんねーぞ」
「っ……!」
性的知識に乏しいアナスタシアは、ティレルにそう言われると、反論する論拠すら失ってしまう。
「大体お前。俺がお前の尻に塗ってるこの薬が、男のサオなら何処にでも欲しくなるようなヤクだったら、今みたいに嫌がって泣くなんてことも出来ねえからな。
口ん中や尻、女の場所みたいな体内の粘膜に薬を塗り込まれたら。
どんなにお堅い女でも男に入れて欲しがって泣くようになるんだ。誰のサオでもいいから、ってな」
「…………!」
「そんな目に遭いたいのか? ボアクリフ商館なんて処には、誘拐されてヤク漬けで娼婦に沈められた女がゴロゴロいるんだぞ」
「っ…、う、あ、」
「そしてあそこには。女にそういうことをするのが平気どころか大好きな、下劣な野郎が集まる。商館の前でお前に絡んできた連中がそうだ」
「…………………、」
「貴族の屋敷に忍び込むのとは訳が違うんだ。お前はあんな場所に近づくな。
……お前がとっ捕まってた状況を見て、怒り狂った俺があのゲス共を殺しちまわないようにどんだけ気を遣ったか、お前わかってねえだろう」
「! っ………、」
ここに来てようやく、ティレルに「来るな」と言われた意味や、実際に行ってしまった後、ティレルが激怒した理由が理解できたアナスタシアだった。
「っ…ご、ごめんなさい、ティレル様……、私の考えが、浅くて……、」
心身を強引にティレルに圧されて、尚、アナスタシアはティレルに申し訳ないと想った。
「わ、私の所為で、ティレル様に、ご迷惑を……っ、」
「おおそうだ。もっと謝れ。反省しろ」
「わ、わかりましたっ……、うぅ……、ごめんなさい……、」
消え入りそうな声で応答し、アナスタシアは寝具に顔を埋め、いたたまれなさに涙した。
その間もティレルの屹立がアナスタシアを繰り返し抉ってくる。
「ッ、ふぅンっ、うっ、ンぅう、」
「ふ……、随分、大人しくなったな……、ちゃんと反省してるか? アナスタシア」
「っ、んん、」
後背から声を落とされ、泣きながらアナスタシアは頷く。
もう「縛りながら穿つのはやめてくれ」とは、ティレルに向けて頼めなくなっていた。
「あ、ぁ、ゆるしてください、ティレル様……、ぁあ、」
「素直になったな。よしよし」
口角を上げてティレルは機嫌をよくする。
「じゃあ、ついでにもう少し素直になるか。『気持ちイイから縛ったままイかせてくれ』って言ってみ?」
「! っ…や………、」
屈辱的なねだりを吐くよう命じられて、アナスタシアの中で羞恥と忌避感が高まる。
「嫌……です…っ、そんなの……、ンくっ、う、」
「ほおー。尻を掘られるほうがいいか?」
ティレルの指が再度蕾に当てられた。
今度は撫でるだけでなく、指先を食い込ませるような動きをして、アナスタシアの後孔を刺激してくる。
「ンひぃっ! いやッ! そ、そっち、イヤ、触らないでっ……お願いです……っ! うぅ、言うこと、聞きますからっ……!」
ビクリと身を強張らせて、アナスタシアが懇願してきた。
「っ……ティレル様…、っかせて下さい……、縛ったまま…で……、気持ち、イイ…です……っ…ンくっ…!」
言わされる屈辱に涙が出てくる。
快楽は本物で、それこそがアナスタシアを打ちのめした。
「ああ、ティ、ティレル様、お願いです……イかせてください……っ!」
こんな身を削るような、へりくだった台詞を言うよう強要されたことは今まで無かった。
ティレルがこんな形で自分を支配してくるのが怖くて恥辱的で、アナスタシアの身は震える。
「よーし……きちんと言えたな。イイ子だ。ちゃんとイかせてやるよ」
「っ、う、」
言わされた言葉は、ティレルにとっては満足のいくものだったのだろう。自分の中でティレルが大きくなっているのがアナスタシアにはわかった。
「あ、あ、」
ティレルの強い打ち付けで、肌どうしが当たってパンパンと音が響く。
「う、ぁ、あぁ、」
やがて、
「ふ、もうそろそろ、限界だろ……俺も、お前も、」
「ン、あ、あぁッ、っン」
「しっかりイかせてやるよ、縛ったままでな、」
「! やぁ、あ、」
アナスタシアが思わず上げた拒否の言葉にまったく拘泥せず、ティレルはその臀部を両手で捕らえ、アナスタシアの弱い場所に竿先を擦りつけた。
「よし、イッていいぞ…、」
「ンっ! くひ、やっ、やぁああ……!」
アナスタシアの内部が断続的に痙攣して快楽の終焉を迎える。
「ッ、つ……!」
アナスタシアの愉悦に引きずられるように、ティレルのほうも、秘所の痙攣に己の竿を絞り上げられて、アナスタシアの内部でドクリと強く脈打つ。
「ンっ、うぅ、う…、あっ……あぁあ……!」
体の奥深くでティレルの熱が爆ぜる。
アナスタシアがガクガクと腰を震わせている間に、すべては終わってしまった。
やがて。
「っ………、」
じっとりと汗ばんだ背に、ティレルの体がのしかかる。
「ふ……、くノ一か。たまにはコスプレもいいな」
満足げに言い下ろしながら、ようやくアナスタシアの裡からティレルの竿が引き抜かれた。
「うッ、く……」
臀部を掴む手を失って、アナスタシアはぐったりと寝具に頽れて横たわる。
そこへ、
「……キスさせろって、ほら、」
手首を拘束されたままのアナスタシアの体を仰向けに転がして、ティレルが顔を寄せてきた。
「う……、や、ぁ、ンむ……、」
なけなしの抵抗など何にもならず、ティレルの手に頭を捕らえられて深い口づけを受ける。
「ン、んふ、……」
口中に舌を捻込まれて口腔を舐られる。
ティレルは未だ心に支配性を強く残しているらしかった。
空いた手が、くノ一衣装をはだけさせて直に乳房を掴んでくる。
「ンっ! ンん……!」
アナスタシアは身を捩ってそれから逃れようとしたが、無論果たすことは出来ない。
舌を絡め合うキスを続けながら、それでもティレルの手は次第にいつもの優しさを取り戻し、やがて宥めるようにアナスタシアの脇腹を撫で、背を辿る。
「ン、ふぁ…、ぁふっ………、はぁ……、」
腫れた唇を唾液で汚して、キスが終わる頃には、アナスタシアのほうでも抵抗感はほぼ無くなっていた。
「っ、ティレル様……、縄、解いてください………、」
息を整えながらアナスタシアが懇願したが、一人だけ先に体を起こしたティレルはアナスタシアの肢体を見下ろして、非常に人の悪い笑みを見せた。
「ああん? ……いや。せっかくのいい眺めなんだ、暫くそのままそうしてろよ」
「! ッ……、」
言われたアナスタシアの頬が、かっと赤くなった。
両腕を頭上で縛り上げられてベッドに繋がれて、衣服の腰布は巻いたままなのに秘所と乳房を剥き出しにされ、太腿と足首も脚を揃えた形で黒網ストッキングの上から縄を掛けられている。しかも体中汗まみれ、下肢ときては別の体液で汚れている。
到底許容できる姿では無かった。
「イヤですっ! く、こんな、……」
自由になりたくてあれこれと身を捩るが、ティレルは面白そうに笑うだけだ。
「おーおー、そうやって暴れると尺取り虫が藻掻いてるみてえだな。ふ、アソコからやらしい汁がいっぱい漏れてきてるのがよく見えるぜ」
「っ……、ティレル様!」
羞恥と怒りを煽られてアナスタシアが声を上げた。
ここまで馬鹿にされて、これ以上遠慮する謂われもない。
アナスタシアは縛られた腿を振り上げて、傍にいたティレルに両足蹴りを繰り出した。
「あ痛てっ! コラ! 足癖の悪い奴め、」
「誰の所為ですかっ!」
加減はされていても複数回まともに蹴られたティレルが少しだけ退いた隙に、アナスタシアは両手を縄で繋がれたベッドの桟を掴む。腕の力で自分の体を桟に引き寄せて上体を起こし、座った姿勢を取り戻す。
これでようやく、下肢の縄に自分の手が届くようになった。
「もう! こんな恥ずかしい恰好……、」
まずは太腿を括る縄から外そうとするが、両手首に縄が掛けられたままなので思うように手が動かず、太腿の縛めはなかなか解けない。
「…………ふ、」
脇から見ていたティレルが苦笑して、アナスタシアの傍に寄り添う。
「……、ティレル様、」
また何か悪巫山戯を仕掛けられるかとアナスタシアは警戒したが、ティレルはそんな気配も無く、アナスタシアの肩を左腕に抱きながら、右手で、太腿の縄と、ベッドに掛けられた縄を器用に外していってくれた。
「どうもお前には。あんまり残酷なことが出来ないんだよな」
ティレルが自分で己に呆れている、または驚いていると言わんばかりの口調で。
独り言のように言ってきた。
ヒストリカ忍法帖【3】【R18】
TEMPEST魔女【小説】