結論から言うとメチャクチャ面白かった!
以上!!!!
……で済ますには色々考え抜かれすぎた作品だったのでこちらもかなり唸りながら再プレイしたり考察したりした
なっがーい雑感が以下に続く
特級魔女としてはやはり、コンラッド殿下を潰せなかったのが最大の心残り…FDでおいたをやらかすキャラが必要だし仕方ないとも言えるけど
復讐チョイスは対象が継母だけだったのでそこはちょっと「えー」となった
生育期を潰した継母より偽婚約者のコンラッドの方がより許せないのは、ストーリーの根幹が「家を出た後」の選択によって成り立つものだからだろうな
そもそも恋愛・裁判って家内のことでなく外に向かった社交・社会性のものだから、家を出た後に人生を邪魔してくるコンラッドのほうが憎いのは妥当と言える
コンラッドは登場初期から「攻略対象ではなく」「ヘイトをためる役割」であることを示す為、取ってくる手法がかなりエグい
イケメンゆえに却って、かなり用心深くキャラが作られているなと感じた
その上どのルートでも手を替え品を替えヒロインの邪魔をしてくる
よって「一発殴らせろ」と長らく思っていた
寝ているところを刺し殺した程度じゃ3割くらいしか怒りが消せない
私の足元に這いつくばって自ら赦しを請えや!震えながら!
虚偽の告発によって社会的に辱められ殺された私の恨みは、ヤツの社会的な死以外では晴らせねーぞ
そしてそれは恋人によって為されるのではなく私自身が権力を握って為すのでなくては意味がない…
と感じる私はテストステロン多めで欲する社会性は男に近いのだろうな、と思った
(恋愛ゲーに向いてない)
以下、攻略対象についてのプレイ後感想、随時書換えたり書き足したりするかも
【ルーシェン】
何度タイムリープを繰り返しても我武者羅にヒロインを信じてくれるルーシェン殿下は魂の本命馬
情けない高音から冷たい低音まで幅広く聞かせてくれるボイスも最高だ
「宿世」という言葉が相応しい恋人
そしてルーシェン人生側から見たときにはもっとも王道のなろうっぽい
ただそれ故にルーシェンはラスト攻略固定で、ストーリーの「まとめ」と恋愛シナリオが同時進行し、思考力と分量的に割を食った感が…他の攻略シナリオ時の行動だけでルーシェンからの愛情には充分おつりは来るんだけれども、ルーシェン編本編はちょっと食い足りないと感じた
(真の意味でルーシェン編が始まるのはエンディングクリア後になっているところも込みで)
あと今気づいたけれどルーシェン視点のシナリオパートが私の中でルーシェン編にカウントされていない
ヒロインの見てないとこでの頑張りというのはな…これを「魔女」の力でヒロインが覗けるタイミングとかがあれば解消できたモヤりなのかもしれない
とにかくルーシェン編は過去に間違えた神話の再構築であり作品の本流
ノイシュバーン家は始祖の名前も「ルキウス」とルーシェンに寄せているのでルーシェンも転生型なのかと途中まで思っていたよね…実質はそれどころではなかったわけだけど
【クライオス】
全編通して声が優しいのずるい
この世界には3人のクライオスがいるッ!
①『空知らぬ翼クライオス編』のクライオス
②『徒花ティレル編』のクライオス
③『最終編』のクライオス
いちばん伴侶にしたいクライオスは②徒花クライオスだッッ!
あの憎たらしいほど自信家で飄々としてて、象が踏んでも壊れなそうな頑丈なクライオス! あれ!あれがほしい!
……恋愛攻略対象としてまったくストーリーが作れないからこそのキャラなのはわかるけれども、『弱点のない完全無欠の男』というあの安定感と安心感はとても心に響いた
8歳差を考えたときのクライオスのヒロインへの距離感と保護感も徒花クラっちは善人としてとても妥当で健全だ
①と③は病気という弱点が発覚しちゃうからさ…徒花→翼の順でクライオスを知ったので、余計に徒花クライオスは輝いている
いっぽうで最も好きなシナリオは①翼編のクラっち
病死を見据えているからこその諦観が、徒花編より少し弱い男にクライオスを仕立てていて、そしてそれゆえにヒロインへの執着は強まるという素晴らしい匙加減
そして何より美味しいのが「無欲」設定だよねいいよね無欲!
メンブルムになっても何も仕出かさないのは殺したい相手がいないから、という…諦念の向こう側、最後に残るのがヒロインへの愛というのもめちゃくちゃ美味しい
あのSadEndから延長するGoodEndが見たかったなあ…それだったらゼン編で団長を無実の罪で殺さずにすむし
最終編のクライオス、ヒロインの悩みである「クライオス側の記憶がない」ことについて悩むのは本当は「クライオスに愛されたことが消えた」ほうではなくゼン編で「クライオスを罪に陥れて殺した」ことのほうに負い目を感じるべきでは…と思ってしまった
そこを解消するだけの尺は取れないんだけれども…クライオスからの好意は徒花・翼分岐前でもギリ感じ取ることは出来る
しかし死に追いやったことについてはヒロインの方からきちんと話して許しを請わなくてはならないのでは…「記憶なくなってるけど全てが洗い流されるわけではない」みたいな曖昧な締めにしているなら尚更
Ⅳ章まで経ての裏トゥルーとも呼ぶべき翼編SadLoveEndは秀逸
翼編通常Endと見事な対を為し、わずかなきっかけを分水嶺としてメンブルムEndに向かったことが見て取れる
テン魔女は作品サムネを見てどう見ても人外と恋愛してるので「プレイしよう」と決めた
けもみみでもお耽美吸血鬼でもない紛うことなき人外、人間の女との恋愛がタブーなタイプのやつ
大好物だ
そんで各キャラを攻略しながら「タイトルの人外はどなたさまだ」とずっと探していたのだが
内容を読み比べる限り翼エンドのクライオス様っぽい
「人の形をしていない」があそこまで人型から外れているとは……よき
スチル絵はかなりマイルド表現なのだな…と思ったりしながら
(ティレルのSadLoveあたりはマイルドでもかなりキッツいので、文章準拠の絵だったらとんでもないことになってそう)
「まだ聞こえるか」とかもいいセリフだよね…泣いちゃう
【ティレル】
能吏キャラなのに毒舌で声はやんちゃ 可愛い
他3人と比べて恋愛ポテンシャル低め
行動理由が好悪感情ではなく義務感や盲従によるものだから仕方ない
だってコンラッドのこととか本当は嫌いだもんね?徒花でも…自覚しないようにしてるだけで
イシク族であることに固執するので王族に盲従することに固執し、コンラッドの猟犬でいることにそうは言っても良心の咎めを感じるので今度はニンジャ(義賊)になろうとする…
大本の、イシク族でいることを諦めるか、もしくはコンラッドに王の器の無さを認めて彼を見限ればよいだけのことを、自縄自縛に陥って全く身動き取れなくなっているので
(しかもそうしたところで誰からも責められないのに自ら望んでその立場に縛られているので、却って外部から矯正するのがとても難しくなっている)
つまりとても頑な
徒花ⅢⅣはアナスタシアに面倒見てもらいまくりなのにあのエンディングなので、凍土はまずティレルの土下座からだろ、と突っ込んでしまう
「私」をコンラッドに売ったことを、アナスタシアは許しても「私」は許さんぞ(執念深い)
イシク太祖の不始末よりティレル本人の不始末をアナスタシアに謝罪すべき
エンディング短すぎてそんな尺はとても取れないんだけど……
特にSadLoveEndは…ティレルへの情ごとなくしそうなほど精神を削られた
なんでよりによってコンラッド堕ち……そこは別枠を取ってほしかった
他のキャラみたいに「男側が独占欲を拗らせた結果」みたいなSadLoveが見たかったなぁ……ティレルで……!
(二次創作して思いの丈をぶつけたのでその欲求は今は収まった)
ティレルはゼンやクライオスの大人組と比べると格段に「心の弱さ」を感じる
そこが好みなんだけど
勝手に年少だと思っていたのでクライオスと同い年と知ってビックリした
あの子供っぽい天邪鬼や恋愛耐性の低さから言ってせいぜい22,23歳くらいかと……
イシク族虐殺年をアナスタシア生誕前に入れなきゃいけない(死に戻れないような時期)という設定上決まった年齢なんだろうな、と勝手に思っている
思考整理してティレルの解像度を上げるためにかなりの分量二次創作をした
「26歳」って考えると私の妄想AIが誤作動を起こすので、特に徒花編では22歳くらいのイメージで二次創作している
(イシク族で虐殺を生き延びた後、山から郷に下りてくるときに転んでアタマを打って4年くらい寝てた、みたいに思い込むことにしている)
大量にティレルについて考察した結果、この人は表向きは反骨(天邪鬼)なんだけど「ソウルは社畜」という結論に達した
徒花編は『イシク族の社畜』または『コンラッドの社畜』、
『アナスタシア=女神の生まれ変わり』が発覚した『決別の回顧録Ⅳ』以降、『凍土』とかのティレルは『アナスタシアの社畜』という立ち位置なのだな、と……
仕事してないと死んじゃう、自分が定めた誰かの役に立ってないと死んじゃう、みたいなところがあって、しかもよりによってコンラッドの下にいた所為で、デフォルトで自己嫌悪も強く、目を離すと静かに自己破滅している……面倒くさいぞ!そこが推しどころなんだけど!
このタイプ、私は「別に仕事なんかしなくてもきみがその場にいて呼吸してゴハン食べて排泄してるだけで十分だよ」と言ってあげたくなってしまうのだが、ペットならそれでいいけど人間だった場合「そうか!」って覚醒した途端1ミリも働かないナマケモノに転生してしまうからな…難しい
ティレルに関してはやはり、アナスタシアを
『狩りとバトルが出来る野獣』から『仕事も出来る野獣』に仕立ててくれる
徒花Ⅰ・Ⅱの頃の彼と、及び2人の関係性が凄く好きだ
赤いバラが咲くたび嬉しかった
「仕事が出来る人だと認めてくれてる!」みたいな
回想の中でもティレルを評して「私を認めてくれた貴方はいない」という言い方をしている
クライオスを評する「私を愛してくれた貴方」との対比ではあるのだが
ティレルとの時間はアナスタシアにとって恋愛とは別方向のアイデンティティ獲得のための成長の時期なのだ、と認識している
被虐待児だった家庭の中から社会性を獲得して大人として成長していく、みたいな…
記憶を継がない『凍土』のティレルはアナスタシアと一緒に仕事をしないので、
彼女を気に入る理由は「仕事」とは別の着眼点になるはず
ということは私にとっては結構別の人だ
徒花Ⅲ・Ⅳは仕事人ティレルのイメージが全く別方向に大きく変わる情報が入り込んでくるので、
この辺りの彼もやっぱり別の人だ
テン魔女の中には結果5人くらいのティレル様がいる
「魔女」本編で異端審問官もやめてるし『猟犬』もやめてるし、となるとニンジャも続ける理由はなくなるしで、続編の「暁」では6人目のティレル様に会えるのではないか…と期待している
【ゼン】
低音大好き
イメージは
雪のちらつく険しい岩山の奥深くで
手負いの若い雌ヒョウを静かに守る雄の虎
アナスタシアの理解者、という意味でゼンに勝てる男などいない
唯一『死に戻り』の記憶を共有しているキャラ
しかもアナスタシアの意志を全尊重、本人は無欲で感謝すら要求しない
こういう男が恋人・夫・父親だったら人生暮らしやすいだろうなあ……という羨望がある
ずるい
しかしこのような男に支えられるだけあってゼン編はあまりにもシビア
初めてプレイするときには選択肢があまりにも過酷で本気で手が止まった
アナスタシアをバッドエンドにするどころかもう自分がプレイをやめようかと思うほど
「人狼」とかの「嘘をつく」系の行為が非常にストレスなのだ私は……
なぜずっと自分に親切にしてくれたマヤとクライオスを嘘告発で死なせねばならんのか
2周目以降は「正答以外を選択しない」ことによって裁判を最短時間でプレイできるのだが
様相が掴めない初回プレイは本当にストレスフルだった……
イシュとかより自分へのヘイトが止まらなくなってしまう
他人ではなく自分が黒く染まる
そうした意味でティレル編と同じくゼン編もまた「闇」
こういうところ、テン魔女は本当によくできている
ティレル編がヒストリカ王国の外縁ならばゼン編はテンペスト世界の外縁を示す
ゼンがテンペスト世界の外側から来た、冒頭はむしろイシュへの親和性が強い状態でヒロインの前に姿を現すということでそれが示唆されている
よってようやくイシュと顔を接しての対決が可能になる
凄いなと思うのは『死に戻り』前に出逢う(ルーシェン以外の)大人3人のうち、一番最初に出逢うのがゼンであること
あの時の印象が強いので、クライオス・ティレル編を経た後にゼンから敵対心を見せられても、ゼン本人への不信感がそれほど湧かない
(こういうところもティレル様は不利……初手でヒロインをがっつり処刑しちゃうので)
そしてゼン編の終盤はアナスタシアがもう壊れかかっているので
何が起きているかストーリーが掴みにくい
見ていて心が痛いのであまり周回もできず……
クロムの力を保持したままカクリヨに住むとか、エンディングで今後大きく様相が変わることが示唆されているカプなので、「暁」編のエピソードをとても楽しみにしている
【ティレルⅱ】作品構造から見た考察
作品の構造上、ティレル編は「ヒストリカ王国の外縁」を示す
ヒロインの生活とヒストリカ王国というより作品の本流をあらわすクライオス編、
最終章として本流に立ち返り、王族との恋愛をあらわすルーシェン編
「光」と呼ぶに相応しい上記2編と比べ、ティレル編は本人の色味の通り「闇」
表の仕事は魔女を狩る異端審問官、裏の仕事は『猟犬』、更には義賊であるニンジャ、と全てがヒストリカの暗部で成り立っている
そして本人の出自は滅ぼされた少数民族のイシク族
作品中では深掘りされていないが、イシク族の立ち位置は王国の構造から言って支配者から「迫害・虐殺」を受けたマイノリティーである
そして裁判の最中、まさに王族が「違法」であるはずの人身売買(奴隷、しかも孤児)に手を染めていると描写される
ティレル編のヘイターは破滅の魔女ではなく王族コンラッド
「政治」に特化して、ヒストリカ王国の闇をこれでもかと詰め込んでいる
これだけ情報入れてよくこんなにコンパクトに纏まっているな…と思えるほど
しかもタイムリープ構造の視点では
ティレル様の立ち位置はなんと「『死に戻り』ごとに初対面」という超高難度キャラ
徒花編ですら、他の3人と比べてめちゃくちゃ遠距離からのスタートである
私は「初対面から急接近」のカップルが凄く好きなのでむしろココが刺さったんだけれども
これのせいで正統エンドで唯一、ヒロインが「愛してる」と言って貰えなかった
(いくらなんでも『凍土』の尺が短すぎる、あと5倍くらいないとエピソード立てて急接近する機会が持てない)
ルーシェン編の『決別の回顧録』で他の男3人がちょっとずつ「今回もアナスタシアを好きですよー」という情報を入れて貰えているのにティレルだけは
「王族は、女神の血を引いていない……(ショック)」ですからね
死に戻りごとに違う関係性になってしまう、というとても脆いキャラクター
本当はそれ故に、「アナスタシアに出会えた(愛せた)この瞬間をめちゃくちゃ集中して大事にする」というキャラクターにも出来た筈なんだ……尺さえあれば
そう…尺さえあれば……!
仕事が出来すぎる(感情外のシミュレート力が高すぎる)せいで恋愛脳もないし(人の扱いがそもそも依存型でなく自立型なので、そういうところも恋愛に向いてない)、ティレル様は本当に恋愛ゲームにあるまじき希有なキャラだと思っている
そこがいい……!
【クライオスⅱ】ティレル編考察を終えてからの感想
ティレル編を舐めるようにアレコレ考察してからようやくクライオス編で同様のことを始めた
改めてプレイすると、ティレル編に比べて諸々が粗い印象
初めて『メンブルム』が顕現する筈の夜、悲鳴を上げていた(殺された?)男は誰だったのか、どこに流れ着く伏線だったのか…というのはクライオス編ではわからないままになった
この夜メンブルムに選ばれていたのは団長だったので、団長が殺したのか?
でも眠りの魔法が効くはずだし、団長はその後も首鎖ついてないし…それとも団長の悲鳴? それも変な気がする
破滅の魔女がエンダーに殺されるくだりは、もしかしたら必要に迫られて後から突っ込んだエピソードなのかな、と…
『魔女』の干渉が無いと、翼編末期における翼騎士団の「(精神的)崩壊」があまりに唐突すぎる気がする
(いちおう「種を蒔いたのに発芽しない」という言い方でイシュ側から伏線は貼られている…が、ちょっとわかりにくい
ここでいう「種」とは、クライオスのことだと一周目には思っていた)
ランドン、ヒューゴ、ミッチェルの「三馬鹿」は前二人がクライオス編、ミッチェルはティレル編で人生が崩壊している
ミッチェルの場合は「未来視」能力をアナスタシアが作中で獲得するお陰で、回避できるものになっている
クライオス編の末尾は、ランドンあたりがポロっと「アナスタシアの所為だって魔女が俺に言ったんだ!」みたいなセリフを吐いてくれるとわかりやすかったかもしれない
もう少し尺があれば、『枢機卿7人全員惨殺!メンブルム再来!』みたいな感じで二度目の『魔女裁判』が行われたのかも、と思っている
破滅の魔女が生存していないと『魔女裁判』は行われないんだけれども
筋としては、二度目の『魔女裁判』で翼騎士団が崩壊した後にイシュがエンダーに殺されてゼンが「もう死に戻りすんなよ」と忠告に来る、くらいのほうがしっくりくるかな…
ゼン編の冒頭で、居酒屋で出会ったときの心内描写で
「なぜこの男は、副団長が亡くなった時
私に『死に戻り』をやめるよう言ったんだ?
おかしいじゃないか。友人なら救いたいと思うはずだろう」
というパートがある
ここもクライオス編とは時間の感覚がズレていて混乱の元
翼編では、クライオスがまだ生きているうちにゼンは『死に戻り』をやめろ、と言っていたので
謎だ
でもまあ細かいことはいいんだ!
翼編ではクライオスの微細に揺れる男心をSadLoveEndごと楽しめばそれで充分酔えるので!!