<其乃三>


「ん………はァ…っ」
 寝床の上に仰向けに横たわった裸身の宗三左文字が、素肌を歌仙兼定に触れられて声を上げた。
「ふ……、やはりどうしても、ここが気になってしまうね………」
 頬を赤く染めて苦笑しながら、まだ浴衣を着たままの歌仙兼定は両手で宗三左文字の両の乳房を優しく掴み、ゆるゆると揉む。
「ン…ぁっ…」
「不思議な柔らかさだ………男の体にはこんなに柔々とした場所はないから、奇妙な心持ちがするよ」
 歌仙兼定の手に揉まれ、宗三左文字の左胸に舞う蝶が形を変える。
 歌仙兼定が指で宗三左文字の乳首に触れると、赤く色づいた乳首は粟立ってぴんと尖った。
「人間の赤子がこれを口に含むんだね……女の腹から生まれることのない僕たち刀剣男士には、縁の無いものだと思っていたが」
 独り言のように囁いて、歌仙兼定は乳首の一つに唇を落とした。
「ッ……あ、」
 その触感に宗三左文字がぴくりと身を強ばらせる。
 歌仙兼定の唇は存在感を強めた宗三左文字の突起をなぞり、やがて舌先が伸ばされて、乳首に当てられた。
「んン……っ…! ひぁ…!」
 濡れた温かな舌先で乳首を刺激されて、宗三左文字が悶える。歌仙兼定が覆い被さった体の下で、宗三左文字が無意識のうちに、両腿を揃えて膝を捩った。
「ふっ……、」
 宗三左文字の足が歌仙兼定の股間に擦れて、歌仙兼定が声を漏らす。
 歌仙兼定は宗三左文字の乳房の柔肉を揉みながら、乳首全体に両唇を宛てがい、そっと吸い上げた。
「っ…ひぅッ………あぁ……っ…!」
 宗三左文字が白い喉を仰け反らせる。
「気持ち、いいのかい? 宗三左文字どの………」
「っ、ン、は、……ぁ、かせんかねさだ………、」
 半眼に開いた色違いの潤んだ目が、歌仙兼定の顔に向けられる。
「女人の体は僕も初めてだから、率先して教えてくれなくてはね。きみが」
 歌仙兼定はからかうように微笑んで見せ、丸く張った乳房に軽く歯を立てた。
「いッ…ぁ、あぁ………、歌仙兼定……、き、もち、いい……です………、」
 喘ぎながら、宗三左文字が従順に返事を返してきた。
 歌仙兼定の体の下で、宗三左文字の両膝がまたも捩られる。
 歌仙兼定は宗三左文字の下肢に視線を下ろした。
「こちらはどんな按配だい?」
 宗三左文字の閉じた両腿を開かせて、女のものになった股間を歌仙兼定が覗き込む。
「ッ、あ、あのっ…、」
 宗三左文字が自分の感覚を伝えようとするが、恥ずかしいのと不慣れが過ぎて己自身が理解できないのとで惑乱してしまい、うまく言葉にならないようだ。
 薄い陰毛の下で、ひたりと閉じたそこは早くも湿っている。
 宗三左文字の体の中央で赤く色づく肉襞に、歌仙兼定の指が触れた。
「ン! んぁ、あッ……」
「奇異なものだね。てらてらと光っている………濡れているんだ」
「っか、かせん……っ…、ンっ、ひぁッ」
 羞恥に耐えかねて宗三左文字は声を上げたが、歌仙兼定は初めて見るその秘肉に意識を集中させていて、宗三左文字の心情をろくに汲むことも出来ない。
「すごいな………どんどん液が溢れてくる」
 頬を紅潮させた歌仙兼定が、肉襞をなぞっていた指を少しだけ潜らせ、上方へ向かって指を掬い上げるように曲げた。
「! ひぃッ、ひぁ、あッ………!」
 びく、と宗三左文字の身が強ばって、背が仰け反った所為で腰骨が浮き上がる。
「やッ、かせん、それダメ……です……っ…ンぁあッ……!」
 淡紅色の髪を振り乱して宗三左文字が声を上げた。
「ダメ………って……、つまり、ここが、イイのかい………?」
 心得た歌仙兼定が優しく嬲るように言い下ろして、緑色の目を昂奮に煌めかせながら、滲出液に濡れた指先を肉襞の上部に押し当てる。
「ひぁあ……ンぁ……ッあぁあ……!」
 襞の中に隠れた花芯を刺激され、宗三左文字の体がびくびくと幾度も震え走った。
「ふ…、軽くイってしまったかな? 僕の指がびしょびしょに濡れてしまったよ」
「ッ………、」
 嬉しげに言い下ろされて、息を喘がせながら、目を潤ませた宗三左文字は眉を寄せて歌仙兼定を見上げた。
「女性になってもきみの体は感じやすいようだね。僥倖だな。薬研藤四郎によればきみの体をさんざんによがらせなくては、元の姿に戻らないようだから…………きみには、これから僕がすることを、意地悪だと取らないで欲しいんだが………、」
 歌仙兼定の緑色の目に浮かぶ昂奮は確かに支配欲を表していて、快楽に流されながらも宗三左文字は危惧を抱いた。
 歌仙兼定が宗三左文字の、大きく開かせた股間に頭を落とす。
「ッ………、待ってくださ……、歌仙……、っ、あ、あぁあッ!」
 肉襞の内側に歌仙兼定の舌が当てられ、舌先で的確に肉の芽を刺激してきた。
「ひッ……ぁ、駄目……です…ッ、そこ、ッあ、はァっ、…ンぁ…ああ………ッ…! やぁ………!」
 快楽が強すぎて殆ど啜り泣くように喘ぎながら宗三左文字が声を上げた。歌仙兼定が卑猥な音を立てて肉襞に口づけ、舌で花芯を転がす。洪水のように染み出る愛液が歌仙兼定の顔の下半分を汚すのにも構わず、歌仙兼定は口での愛撫を続けた。
「ン…ぁッ……、あッ…や、…ひィ………ッ…!」
 身を捩り、長い髪を振り乱して、宗三左文字の体は初めて知る快楽の頂点に達した。歌仙兼定の頭の両脇で宗三左文字の内腿の筋肉が震えている。口を陰部から離した歌仙兼定が二本の指をそっと襞のうちに差し込むと、痙攣する濡れた秘肉が絡みつくようにその指を締め上げた。
「なるほど……女人の体は愉楽が持続するとはこういうことなのか」
 花芯への刺激がなくなっても変わらずに快楽の内にある宗三左文字の身を見下ろして、歌仙兼定が情欲の息を吐きながら呟く。
「ンぅ…はぁ、あ………ッ…、」
 宗三左文字が歌仙兼定の体の下で喘ぐ。髪より赤く染まった頬から、汗とも涙ともわからぬ水滴が両耳へと流れていく。
 歌仙兼定は指を三本に増やして、宗三左文字の体内を探った。痛みを感じる様子はなく、濡れた秘肉が誘うように卑猥な音を立てる。
「宗三左文字どの」
 指を抜いて身を伸ばし、宗三左文字の顔に口づけながら、歌仙兼定は己の浴衣の帯を解く。
 白浴衣の裡から、歌仙兼定の締まった肉体が現れる。
「きみが欲しくて、僕も、もう、我慢の限界だよ………僕に、きみの女性の身を抱かせてくれ」
「……………ン、」
 快楽の余韻に未だ溺れながら、宗三左文字は目を閉じ、覚悟したように唇を結んで頷いた。
 歌仙兼定は微笑んで、口づけを続けながら己の肌着も取り去る。
 初めて見る宗三左文字の女の痴態にすっかり勃起した己自身を、歌仙兼定は、宗三左文字の体の中央に宛がった。
「力を抜いて。身を楽にしていてくれ、宗三左文字どの」
「………、は、」
 秘部に歌仙兼定の竿先を感じて宗三左文字が息を吐いた。先端で感じる宗三左文字の肉襞は熱く柔らかく、歌仙兼定は、腰を落として奥深くへ己を突き込む以外のことは考えられなくなる。
 歌仙兼定の雁首が宗三左文字の肉襞を割った。
「! いッ………ぁ…!」
「く………、」
 突き入れられて、思わぬ圧迫に宗三左文字が身を強く強ばらせた。竿先を潜らせた宗三左文字の内部が強く収縮し、歌仙兼定を締め上げる。
「ッ…、きつ………っ、く、」
 異物を受け入れることを知らぬその場所が食い千切るような強さで歌仙兼定の竿を圧迫して、すぐに爆発が始まった。
「っ、くそ………、」
 堪えるつもりでいた歌仙兼定は悪態をついたが、放ち始めてしまったものは取り返せない。
「ッ、ぁ、ンぁ……ッ…!」
 汗を滴らせる歌仙兼定の体の下で、体内で射精を受け止めた宗三左文字の裸身が苦しげに悶えた。膨張した竿が射精のためにびくびくと震える、そんな振動にさえ苦痛を感じるようだった。
「あ………ぁ、あ、かせん……っ…」
 快楽の後に痛みだけを与えられて、唇をわななかせ、宗三左文字が弱々しく声を上げた。
「済まないな。宗三左文字どの………中に、出してしまったよ」
「………ッ、ぅ……、」
 どんな反応をすればいいのかもわからぬという態で宗三左文字が呻く。
「……まだ、痛むかい?」
「………、ンう……」
 体を繋げたままで歌仙兼定に優しく尋ねられ、宗三左文字は肯定するようにわずかに頷く。処女を失った宗三左文字の体の中で、歌仙兼定の竿は既に半ば猛りを取り戻している。
「宗三左文字どの。接吻を」
「ン………は…、」
 歌仙兼定が宗三左文字の唇に顔を寄せて、優しく口づけてきた。痛くて殆ど身動きの取れぬ宗三左文字が、それでも歌仙兼定に縋るように接吻を返してくる。
「んッ……ふぁ…、ぁふ………、」
 小さな音を立てて互いの唇を食み合い、舌を絡めているうちに、歌仙兼定に組み敷かれた宗三左文字の体から緊張が解けてきた。宗三左文字の胸の双丘が歌仙兼定の厚い胸板に押し潰されるようにして形を変え、突き立った乳首が歌仙兼定の肌に触れる。
「ン……ぁあ…、ンふ……っ」
 痛いほどに歌仙兼定の竿を締め上げていた宗三左文字の肉襞が少し緩み、お互いにわずかな余裕がもたらされる。
 歌仙兼定が探るように少しだけ身動きすると、目を閉じた宗三左文字がひくりと身を震わせた。
 宗三左文字の体内ですっかり復活を果たした己自身を自覚しながら、歌仙兼定は思案する。高まってきた昂奮のままに宗三左文字の女の身を一刻も早く貪りたいが、相手に快楽を与えなくては治療にならない。薬研藤四郎が指摘したとおり、未通だった宗三左文字の膣は確かに狭く、このまま歌仙兼定の屹立で抉るのは強い負荷をかけてしまうことになりそうだった。
「宗三左文字どの……どうしたものかな」
 もう少し、宗三左文字の体から強ばりが抜けてくれるといいのだが、と思いながら歌仙兼定は手で宗三左文字の額に触れる。汗ばんだ秀麗な顔に、寝乱れて貼りついた淡紅色の髪を、歌仙兼定は手櫛で解いて、宗三左文字の顔から優しく払いのけてやった。
「そうも痛いばかりではきみが辛いだろう。……なにか僕に、他にできそうなことがあるかい……?」
 問いかけを受けて宗三左文字の瞼が開き、汗を吸った前髪の奥から深い緑と青の瞳が現れて、歌仙兼定を見上げてくる。
「は……、か、かせんかねさだ……、お願いが………」
 紅潮した頬に涙の跡を湛えて宗三左文字が懇願してきた。
「………あの……、僕の体の……さっきの場所に…もう一度………、……指で………、触れていただけないでしょうか………?」
 羞恥で顔を更に赤らめながら、それでも宗三左文字は最後まで言い切った。
「もう少しで……、痛みが消える、気がするのです……、……心地よく、なれば………、」
 宗三左文字も、ふたりで体を繋げる意味を見失ってはいないようだった。
「………ここかい……?」
 手探りで宗三左文字の外襞をかき分け、指で花芯を探り当てて、歌仙兼定はそこを撫でる。
「ッ……ぁ、あ…、そうで……ッ、ンぁっ」
 肉芽に指先が触れた途端に宗三左文字の反応が変わり、声に艶が増した。
 宗三左文字の体がいちだんと弛緩して、歌仙兼定を包む粘膜が熱く溶けるように正体を無くす。柔らかいのに、それでいて屹立を奥へと呼び込むように絡みつく秘肉の触感に、歌仙兼定は息を飲む。
「ッ………」
 宗三左文字の体に誘われているとしか思えぬほどの快楽に負けて、歌仙兼定は少しだけ腰を動かした。
「っふ、ぁ、ひぁ……ッ」
 弛緩した宗三左文字の体は再び強ばることもなく、歌仙兼定の突き入れを受容した。
 屹立が宗三左文字の肉襞の天井近くを擦って、宗三左文字の喉から柔らかな喘ぎが漏れる。
「ンぁッ、あ………ぁ、そこ………、」
 先程指で触れた場所の近くだ。心得た歌仙兼定は探るように、その箇所へ向けて竿先を幾度か擦りつける。
「ここが……気持ち、いいのかい………?」
「ッ、ん……、は、ぁ、ええ………ッ、ンぁあ、」
 体に力を入れて筋肉を収縮させぬように気をつけながら、宗三左文字は歌仙兼定に言葉を返した。
 歌仙兼定が中で動くと、宗三左文字の内奥に振動が伝わる。歌仙兼定の侵入にようやく己の身体が馴染み、準備が出来たことを、宗三左文字は自覚した。
 歌仙兼定の厚い胸板で乳房が潰されて、乳首に相手の肌が当たるその触感が宗三左文字を快楽へと誘う。女の場所に歌仙兼定を受け入れることは、男の体のときよりも一層、その行為が真っ当で、誇らしい気持ちにすらなることに、宗三左文字は気づいていた。
「宗三左文字どの………」
 囁きながら、歌仙兼定が腰を揺すり上げてくる。
「は、っぁ、ンぁ、」
 丁子油や、歌仙兼定の唾液で潤されなくても、充分に己の体液で満たされたその場所が、歌仙兼定を求めるように彼の屹立を締め上げている。狭隘な場所を押し広げられた苦痛は宗三左文字から去り、歌仙兼定の竿から直に快楽を与えられるに至って、宗三左文字は歌仙兼定の首に腕を伸ばしてしがみついた。
「か、せん……はぁ、あ……、」
 歌仙兼定の香のにおいと体臭が宗三左文字の鼻腔を満たす。歌仙兼定と繋がった己の下肢から、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が立っている。歌仙兼定のもたらす律動に合わせて宗三左文字の快楽は高まり、ついに宗三左文字は両脚を歌仙兼定の腰に巻きつけて、抽送を求めるように自ら腰を揺すり始めた。
「ぁッ…、あっ、ンぁ、か……かせ、かせん、っ…は…、」
「ッ…つ………、」
 甘えるような、媚びるような、男の姿で抱かれていたときには一切上げなかった類の声が宗三左文字の喉から漏れて、歌仙兼定の独占欲と庇護欲を強く煽った。
「宗三左文字どの……、ン…」
「ン…ぁふ……、」
 腰を深く繋げ合ったままで上体でも抱き合い、歌仙兼定が深く仕掛ける接吻に宗三左文字が陶然と応えてくる。舌を絡ませ合いながら歌仙兼定が幾度か深く腰を突き入れると、宗三左文字の体の奥がびくびくと痙攣し出した。
「ンッ…ふぅン………ンぁ…、ぁ、っあァ………ッ…!」
 揺さぶられて宗三左文字の全身がわななき、声が高く掠れて裏返った。
「あ………ぁ、かせん…っ、い…っ…、」
「イった………?」
「っ…ン………、」
 優しく尋ね下ろされて、まだ快楽に飲み込まれながら宗三左文字は頷く。
 歌仙兼定は腰を揺らがせるのを止めず、しどけなく開かれて唾液を溢れさせた宗三左文字の朱唇に口づける。
「このまま……、出して、いいかい………?」
「……ん…、」
 歌仙兼定の首に回した腕を再度きつく絡めて、宗三左文字は頷いた。
「ふっ……、んく…、」
 抽送を続け、精を撒くために宗三左文字の内部を穿つ歌仙兼定の喉から、満足の呻きが漏れる。
「は……、凄いな、宗三左文字どの……、っきみの、中が…、心地よくて……ッ、ん、」
 宗三左文字の肉襞に締め上げられて、歌仙兼定の勃起が膨張と硬化をいちだんと強める。
 快楽の終焉を先延ばしにしたいが、もう限界のようだった。
「ッ……もう…、出すよ………!」
「っ………! ぁ、あ、あァ………っ…!」
 最奥まで突き込んだところで歌仙兼定が動きを止め、宗三左文字の体内で熱が爆発する。
 注ぎ込まれてくる精を宗三左文字の体は歓喜のうちに受け止め、快楽の更なる頂点に宗三左文字は押し上げられた。
「はぁッ…、ぁ、あ………、かせん、かねさだ………!」
 思わず恋人の名を呼んだことを、宗三左文字は殆ど自覚しなかった。
 達したばかりの歌仙兼定が、息を喘がせながら、汗ばんだ体を宗三左文字の裸身に押しつけて、優しい接吻を雨のように浴びせる。
「歌仙、」
 半眼に閉じていた目を宗三左文字が開くと、至近の緑の目と視線が合った。
「宗三左文字どの」
 常よりもいっそう優しく歌仙兼定は微笑んで、髪より赤く染まった宗三左文字の細い体を抱き締めてくれた。
「きみの体の、全ての初めてを貰えるなんて………僕は幸福な男だな」
 まだ女のままの宗三左文字の乳房を柔らかく揉みながら、歌仙兼定が言った。
「……、は………、」
 絶頂を迎えたことと、それより以前に激しく緊張していたものが解けた所為で、宗三左文字はけだるさを体に覚えながら、歌仙兼定の身に寄り添う。
 歌仙兼定の竿が己から引き抜かれても、彼の熱はいつまでも宗三左文字の体内に残った。




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