<其乃四> 「ン……ぁっ…」 薬研が下褌ごと宗三の竿を握って擦り上げると、宗三の喉から掠れた喘ぎが漏れた。 「おまえ……自分で、こうやって、勃たせたことはあるか……?」 宗三の体の上に乗り上がったまま、薬研が尋ねる。 「っ……ぇ…、いいえ………、」 「ふうん。俺っちが初めてか」 戸惑うように眉を寄せた宗三の顔が愛おしくて、薬研は微笑した。少年の手は遠慮もなく宗三の肌着を取り去り、強ばり始めた竿を直接に握り始める。 「ンぅッ、は、ぁッ、やげん……っ…、」 現実に目にする宗三の竿は夢の中で見たものとは少しばかり違っているが、そうは言っても薬研のものほど凶悪な印象もなく、薬研の小さな手の中で素直に刺激に反応していく。 「っ…ン、ぁ、」 愛撫を受けるままの宗三左文字が恥ずかしそうに身を捩りつつ声を上げる。年上の青年の姿をしてはいても宗三は、薬研自身よりよほど初心で無垢なようだ。耳年増な乱藤四郎あたりよりもずっと無知なのだろう。交わり方を宗三に教わる夢を見た直後だが、現実には何も知らない宗三に自分の手で性の快楽や知識を刻みつけていくことに、薬研は、夢のときとはまた違った昂奮を感じる。 「はっ、は…ぁ、やげ………、」 「ずいぶん恥じらうんだな」 「ッ、あ、当たり前…でしょう……こんな……っ、…」 薬研の手で扱かれて勃起していく己の竿に目を落としながら、頬を朱に染めて宗三が喘いだ。 風呂ではいつも平野の前で肌を見せていたはずだから、恥ずかしいのは薬研の前に裸身を晒していることではなくて、他人に性感を煽られた上にそれを注視されていることにあるのだろう。 薬研は宗三を煽る手を止めず、悪戯っぽくその顔を覗き込んだ。 「俺っちに見られて恥ずかしいか? 平野の前では平気で脱いでいたんだろうに」 「ッ、………、」 「さっきだって、風呂場で平然と俺っちの前で肌を晒していただろう……おまえは、今更何が恥ずかしいんだ」 「……っ、う、やげん……ッ」 宗三の口から言わせることを強要したくて、薬研はわざとらしく尋ねた。 羞恥を自覚していっそう頬を赤らめる宗三の困惑と逡巡が、肌を通して薬研にも伝わってくる。 宗三は眉を寄せて観念したように声を上げた。 「…ぁ、う、あ、あなたに、そんなふうに、っそこを、触られたら……ッ、は、っはぁ……ッ」 屈服した宗三が躊躇いながらも情感を素直に告げたことが、薬研の支配欲をさらに煽った。 薬研の指に幾度も雁裏を擦り上げられて、宗三の竿はすっかり勃起しており、その鈴口はぐずぐずと湿り始めている。 「触られて感じてるのが恥ずかしいのか?」 「………っ……、」 宗三は返事も出来ず、薬研の顔を見て、泣くような表情で頬を真っ赤に染めた。潤んだ青と緑の瞳に、淫熱と羞恥が湛えられている。 それを見下ろす、いつもは青白いほどの薬研の顔も、さすがに頬には赤みが差している。 「……気持ちイイんだな?」 確かめるように薬研が問うて、掴んだ宗三の屹立の裏を親指の先で強く押し上げた。 「ひッ! ンぁ、あッ…!」 びくり、と薬研の腰の下で宗三の体全体が震えて、青年の細い体が弓のように撓る。寝乱れた薄紅の長い髪が布団の上で生き物のようにうねった。 薬研の手に捕らえられた宗三の竿は、初めて知る昂奮にぴくぴくと震えている。 「反応いいなぁ……宗三………、」 自分の手に翻弄されるままになる年上姿の宗三に気をよくして、薬研は一度竿から手を離し、体も宗三の上からどけた。 「俺っちだって、さして詳しいってわけでもねえが」 己の唇に手を当て、宗三の竿を煽っていた指についた先走りをちろりと舌で舐め取りながら薬研が言った。 宗三の味がその舌先に残る。 主の書庫で貪るように読んだ書物の中にあった、人間の男の快楽の様相そのままに、宗三は薬研の手管に乱れていた。 「おまえがそんな純な反応をしてると……、もっと色々してやりたくなっちまうな」 薬研の薄い茶色の瞳に強い支配欲が湧いている。 それを認めて宗三は、情欲に煽られた心のうちで、それでも警戒心を抱いた。 「ちょっと待ってろ」 薬研はそう言って立ち上がると、宗三が問いかけもしないうちに自分の部屋へ素早く引っ込んで、すぐに戻ってきた。 膏薬の盛られた蛤殻と、何かの薬瓶を手に持っている。 「……なんですか………?」 「俺っちの常備薬だ。人の体が傷ついたときの痛み止めの軟膏と、刀身の手入れ用の丁子油だ。丁子油のほうはおまえも持ってるだろうが……」 少し人の悪い笑みが薬研の顔には貼りついていて、宗三は警戒を深くした。 「………そうですけど…」 「大将のもとで人間の体の本を読んで、知識だけは仕入れてきたからな。実践するのはおまえの体が初めてだな、宗三」 「…………………、」 嬉しそうに言い下ろされて宗三のほうは眉を顰めた。薬研から感じる支配感だけではなく、自分の体を初めての実験に使うと言われているような心地がして、気分がよくない。 薬研は宗三が抱いた葛藤になど気づく素振りも無く、下肢を露わにした宗三の腰の傍にしゃがみこんだ。 「おまえにしゃぶってもらう夢を見たことはあるが………、それが実際にどういう心地がするかは、まだ試したことがねえ。………どういう気持ちになるもんか、教えてくれ。宗三」 なんのことか、と宗三が問い返すより早く、薬研は宗三の屹立を掌で掴み、続いて、白い顔を更に宗三の腰に寄せると、小さな舌先を伸ばして宗三の屹立を舐り始めた。 「ッ、……………! ッひ、ぁッ……! や、やッ、やめ………、薬研………っ…!」 与えられる快楽はそれまでの比ではなかった。不浄の場所、と決めつけていたところを他人の口で舐められるのも衝撃的で、惑乱のあまり宗三は殆ど恐慌に陥った。 薬研は宗三の制止も聞かず、唇全体で宗三の屹立に唾液をまぶしながら竿を幾度も舐め上げる。 「やッ、や、ぁ、いけません、薬研っ、……そこ……あ、あぁッ! ひぃッ!」 「………ずいぶん良さそうだな」 一度だけ口を離して、ふ、と薬研が満足げに微笑んだ。 「ッ…………、」 少年姿の薬研にいいように翻弄されることに屈辱めいたものを感じ、宗三は唇をわななかせる。 「っ…、薬研、……そこ…は、もう、舐めないで…くださ……、汚いですし…、っひどく、おかしな気分に、なってしまいますから………っ、」 顔を真っ赤に染めて、潤んだ目の端には涙さえ湛えて宗三は懇願してきた。 「おかしな気分だって?」 少年の指で、先走りを垂らす宗三の鈴口をぐちぐちと抉りながら薬研が笑み下ろす。 「っくッ、は……、」 指だけでも刺激が強くて、宗三は思わず喘いだ。 「いい気分の間違いだろう……、宗三……。正直に言ってみろ」 「ッ………、」 言葉でも翻弄されて、宗三はますます頬を紅潮させた。 「誤魔化したくても、こっちの反応でまるわかりなんだぜ?」 自慢げに薬研が言って、口淫の後にあからさまに膨張を強めた宗三の屹立を、手の中で扱き上げてみせた。 「俺っちに口でしゃぶられると、気分がいいだろう?」 「……………、っ、ぁ……は…っ…ぁ…ええ………、」 敗北を認めて宗三は目を閉じ、喘ぎと共に肯定を口に上せた。 「……で、でも、恥ずかしいのです………お願いですから………、っ…もう………」 消え入りそうな声で続けて懇願した宗三だったが、 「駄目だ。俺っちはおまえが恥ずかしがるところがもっと見たい」 さらりと言い下ろされて、次いで再び、宗三の竿は薬研の舌に捕らえられた。 「ひッ……! ンは、っや………ッぁあッ…!」 ついに薬研は小さな口全体に宗三の竿を頬張り、熱く濡れた口内で舌を根から絡めて宗三の屹立を吸い上げ始める。 「ン、ぁ、あぁッ…や、やげん………!」 頬張られた下肢からじゅぷじゅぷと卑猥に音が立つ。 己で竿を性的に弄ったことすらなかった宗三にはあまりに刺激が強すぎて、瞼の裏が白くなり、何も考えられなくなってしまう。 「ひ、ぁ、駄目………ッ、ン、あぁああッ……!」 びくり、と宗三の背が一際強く撓り、薬研の中で宗三の腰が突き上げられて、意識もせぬうちに宗三の射精が始まった。 「……、ッ………、」 さすがに驚いたように薬研が口を離したが遅く、初めての宗三の精が周囲へ撒き散らされていく。薬研は口は宗三の竿から離したものの、手はその根元をしっかりと握ったままだった。 天へ向けて白濁が迸り、そして止む。 「っ、はぁッ、は………ッ」 自分に何が起こったかもわからず、射精を終えて宗三は荒く息を吐いた。 「ふ………、」 支配者のような笑みが薬研の喉から漏れるのが聞こえて、ようやく宗三がそちらに視線を寄越す。 薬研の顔は宗三の放った精で白く汚されていた。黒い前髪と額、鼻先から顎にまで白濁が飛び散っている。 「……! っ、ぁ、や、薬研、……それ…、は、」 初めての射精でも薬研の顔が汚れたのはさすがに自分の所為だと気がついて、動転した宗三が声を上げた。 鼻を伝って薬研の口元に宗三の精が滴る。それを、赤い唇を割って現れた薬研の舌が、宗三に見せつけるような淫猥さで舐め取っていった。赤くぬめる薬研の口の中に、宗三の白い精が飲み込まれていく。 「……綺麗なおまえの出したモンでも、さすがに精液は生臭いものなんだな」 むしろ嬉しげに薬研は言って、口中の精をごくりと喉奥に飲み下した。昂奮の所為か、珍しいことに、薬研の頬はひどく赤くなっている。それは宗三が企図せずに撒いた白濁とみごとな対照を為し、宗三の中の淫靡を再び高め始めた。 「ッ、………」 再びの淫熱を自覚して、宗三の顔がいっそう赤らんだ。情欲を少年姿の薬研に見透かされているだろうことが、宗三の羞恥を更に煽る。 顔に精を滴らせ、宗三の萎えた竿をその手に握ったままで、薬研は情欲に掠れた声を宗三に向けて寄越してきた。 飢えた獣が獲物を手に入れたときのような、満足そうな表情で。 「俺っちの顔を汚した落とし前はつけてもらうぜ。宗三」 「っ…、く、ぁう……っ」 全裸で寝床の上に仰向けに寝かされ、下肢を薬研に向けて広げさせられて、宗三は羞恥と苦痛に声を上げた。 膏薬のついた薬研の細い指が宗三の後孔をまさぐり、犯している。 「っひ……ぁ、あぁう……ッ」 「指一本くらいで痛がってるようじゃあ……、俺っちの摩羅を突っ込んだら死んじまうぞ。宗三」 薬研は指は器用に動かすもののさして慈悲は無く、苦痛に呻く宗三に構わず指を抜き差しして、後孔のとば口に膏薬を擦り込んでいく。 「ッ、ぁ、あッ…つぅ………っ、ぅ、」 脂汗をかいて呻き、薬研の指を体内に受け入れながら、宗三の手は堪えるように体の下の寝具を握りしめる。 「もうちっと、体から力を抜かねえとな」 「ひッ………!」 右手の二本の指を差し込んで蕾を押し広げていきながら薬研は言い下ろし、その刺激に宗三は却ってびくりと身を強ばらせた。 「今塗ってる膏薬は痛み止めだ。そのうち効いてくっから、今は我慢してろ」 「ンっ…ぁ、ぁう……、」 少年らしい気の急きようと理学者らしい情の薄さで薬研は言って、それでも気遣いはまだ完全には失わず、宥めるように、宗三の素肌に舌を這わせてきた。 小さな舌で乳首を掠められ、宗三の体がぴくりと震える。 「ンっ…はぁ、あぁ………ッ、」 乳首はたちまち硬く尖り、薬研の舌に転がされて赤く色づいた。 「ッ……やげ……、ンっ、ぁッ」 突起を口で吸われ、宗三が痛みだけではない声を上げる。 後孔を指で犯したまま、薬研の唇は宗三の皮膚を幾度も上下した。乳首だけでなく、臍や腰骨、萎えた竿や袋にまで薬研の舌が及ぶ。 「ひぁっ、あッ……ぁ、」 薬研に気遣われていると思うことが、不思議に宗三の自尊心を満たす。 薬の薬効の為か、薬研に宥められたのが効いたのか。薬研の指が与える刺激は宗三にとって苦痛ではなくなりつつあった。代わって、快楽が、未だ細々とながら宗三の体を巡り始める。 塗り込まれるのは膏薬から摩擦を減らすための丁子油に代えられ、後孔を犯す指は三本に増やされている。触感はあるがとば口に痛みはなく、宗三の体から緊張は解け始めている。 「体がいい感じにほぐれてきたな………痛みが消えたか?」 「………ン、はっ、ぁ……、え、ええ………ッ、ひぁっ…」 宗三の腰骨に舌を這わせ、時折歯を立てて甘噛みをしながら薬研は宗三の体の具合を測る。 掠れた喘ぎと共に声を返す宗三の様相。熱と共に肌から立ち上る羞恥によって、宗三は先程薬研が竿を擦り上げたときと同じように、薬研の手管で快楽を感じていることが見て取れた。 薬研の指を千切らんばかりに喰いしめていた宗三の後孔の収縮も、今は、程よい締め付けに変化してきている。指で探る宗三の中は熱く、油薬で濡れていて、薬研の快楽への期待はますます高くなっていく。 「おまえの穴も……大分ほぐれてきたぜ?」 とば口でわざとらしく指をこねくって、ぐちゅぐちゅと音を立ててやると、見下ろす宗三の顔が羞恥で更に赤くなった。 「っ…やめ…、っや、やげん………ッ」 頬を熱く火照らせ、緑と青の色違いの目が、涙を湛えて薬研を見つめてくる。懇願するようなその眼差しが、薬研の占有欲を満たす。 右手で変わらずに宗三の後孔を探りながら、薬研は左手で宗三の竿に手を添えてやる。ひくりと震えた宗三の反応に笑みを見せて、薬研は再び宗三の竿を擦り上げ始めた。 「ンっ、は…ぁっ…、ンぁ、」 体熱を高めていた宗三の反応は良く、潤んだ二色の目がせつなげに細められるのを確認して、薬研は満足と、己自身の強い飢えを自覚した。 宗三以上に、薬研の腰に欲熱がわだかまり、宗三を求めて強く猛っている。 「もう限界だ…、宗三………。そろそろ、ぶっすり行かせてもらうぜ」 少年らしくない低い声を情欲に揺らがせて、薬研は宣言した。 「…っ…、わ…わかりました………、」 淫欲にぎらついた薬研の顔を見上げる宗三の面に少しく不安の影が過ぎったが、それでも、宗三は従順に薬研に応じた。 薬研は一度宗三の体から手を引き、己の浴衣をはだけて脱ぎ捨て、下褌も取り払ってしまう。 竿を己で扱くまでもなかった。肌着の下から、宗三を欲して勃起した巨大な陰茎が現れる。 それを見た途端。 薬研を受け入れようというように四肢を広げかけていた宗三は息を飲んで身を強ばらせた。 「っ………、」 宗三のものより余程大きな、涼しげな少年の姿形に似合わぬ、凶悪な色形の屹立。 宗三は恐怖に目を瞠り、仰向けのまま、薬研の体の下から後じさるような気配を見せた。 「ッ、待って、薬研、そんな大きさ……、」 宗三の目は薬研の勃起に釘付けになっている。 そんな大きな物が自分の後孔に割り入るなど、無茶に決まっていた。 だが薬研のほうは既に、先に自分で言ったとおり我慢の際に達していて、その所為で、宗三の恐怖につきあう忍耐力を無くしていた。 逃れようとする宗三の姿勢はむしろ薬研の征服欲を刺激した。薬研は宗三が逃げられぬよう、青年の細い腰を両手で素早く捕らえる。 「四の五の言うな。慣れてくれ。……挿れるぞ。宗三」 飢えに掠れた声で薬研が言い下ろす。 「ッ………、」 宗三の恐怖は消えず、宗三は言葉も失ってただ首を横に振った。薄紅の長い髪が振り広がり宗三の体の上にかかる。 薬研はそれを眺め下ろしながら、乾いた唇を湿すために小さな舌を口から覗かせた。 見上げる宗三にとっては文字通りの、餌を前に舌舐めずりする肉食獣の顔だった。 「突っ込むぞ」 「! い、や、待っ……、」 身を捩る宗三の肢体を押さえつけ、両腿を開かせて、薬研が宗三の尻に己の腰を寄せる。 薬研の指で解された場所に、屹立の先端が突き当たった。 「ひっ…! ぁ、や、無理……で、」 「ッく………、」 もはや宗三の言葉も耳に届かず、薬研は本能に急き立てられるまま、狭いとば口に亀頭を突き込み、宗三を貫いた。 |
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