<其乃六>


 薬研藤四郎と情を交わすようになって三月ほどを過ごすうちに。
 宗三左文字は新たな葛藤を心身に抱えることとなった。
 ある昼食時。
「薬研。なにか食べてもらえますか」
 食事の最中、自分の前の膳を示しながら、決まって宗三はそう薬研に尋ねた。
 薬研と結ばれた今、ふたりの間に心の隔ては無く、平野藤四郎が小姓役であったときと同様、宗三の部屋で薬研も食事を摂るようになっている。
 城中における貢献度や年齢体格、あるいは刀剣男士としての格差を反映してか、厨房から出される食事はいつも薬研の膳より宗三の膳のほうが品数が多い。だが宗三は、青年姿を取る打刀の中でもとりわけ少食なほうだった。一方、人間で言えば「食べ盛り」と呼ばれる年頃の薬研は、短刀連中の中で最も大食いかつ早食いの性質だ。食事を共にするときは常に、宗三から進められるままに、「悪いな」の一言のもと、薬研は遠慮なく宗三の膳を箸でつつき食べ物を口に運んでいく。
 結局、宗三の膳の上にあった食事のうち半分近くと、脇に置いてあった櫃の中の白飯の殆ど全てが、薬研の腹に収まってしまった。
 食後。
 上に載っているのが空の器だけになった二人分の膳を前に、二人でゆっくりと茶を啜っていると、薬研が尚も飢えたような視線を宗三左文字に向けてきた。
「宗三。………足りねえ」
 言われて宗三は、湯飲みを床に置いて薬研を見る。
「……厨房に出向いて、追加の握り飯でも頂いてきますか?」
「そうじゃねえ」
 薬研は湯飲みの茶を全て喉奥に飲み下し、それを脇に置いて畳の上に座したまま、宗三の傍ににじり寄った。
「おまえを食い足りない」
「……………」
 薬研のその言葉が何を意味するか、二瞬ほど考え込んで、やがて宗三は耳まで赤くなる。
「……ゆ、夕べ、あんなにしたでしょうに………、」
 唾をごくりと飲み、赤面したまま、宗三は困惑した面持ちで薬研の顔を見た。
 明け方近くまで薬研に抱かれて、五度ほども薬研は宗三の中に射精している。飽くことを知らぬ薬研の性欲につき合わされて寝不足の宗三は、昼を過ぎた今でさえ腰に違和感を感じるほど消耗していた。
 薬研は全く引かなかった。薄い茶色の目が、淫熱を溜めて潤み、宗三を見上げてきている。
「足りねえものは足りねえんだ。おまえの傍で昼まで働いてる間に、すっかり溜まってきちまった。おまえの声やら匂いやら気配やらを感じてるだけで、俺の息子はすぐその気になっちまう」
「…っ、で、ですけど、………僕にどうしろと………?」
 薬研が情欲を告げてくる理由がわからず宗三は戸惑うばかりだ。
 薬研は宗三の優美な手を掴んで、ズボン越しに己の股間に触れさせた。
「! ッ、」
 掌に確かに熱と強ばりを感じて、宗三の肩がびくりと震える。
「おまえの所為でこうなっちまうんだぜ……、責任取ってくれよ」
「そ、そんなことを言われましても……、」
 宗三は困惑を深めて、まずは常識的な範囲内で、節度ある大人としての対応を示した。
「……わ…わかりました…、今夜もまた、あなたにつき合いますから、」
「夜までなんて持つわけねえだろ」
 吐く息が熱くなった薬研が、一言のもとに却下する。
 薬研の唇が宗三の口に近づいて、食むように接吻をしてきた。
「ン……、」
 唇と唇が合わさったのは一瞬で、すぐに薬研の口は宗三の頬を滑り、耳の傍へと当てられる。
 薬研の吐息と皮膚の熱にひくりと身を震わせた宗三の耳に、薬研が毒のように低い声を吹き込む。
「今してくれ」
「ッ………!」
 正気か、と宗三は思わず目を見開く。
 日中、仕事を広げたままの居室で体を交わせと言われても、応えられるわけがない。
「む、無理ですよ、こんな時刻にこんな場所でなんて………! 誰か来るかもわかりません。午後もみっちり仕事があるのに、それを放り出して情を交わすなんて、以ての外でしょう。疲れて仕事にならなくなったら、他の皆さんや主に迷惑をかけ……」
「手早く終わらせて、一発で我慢するさ。要は俺っちだけが出して、おまえが疲れなきゃいいんだろう。そうすればおまえの仕事に影響はねえ」
 いけしゃあしゃあと薬研は言ってくる。
 自分だけが精を放って、一発だからとそれを『我慢』と呼ぶとは。何度宗三に放てば本来は気が済むと言うのか。薬研の図々しさと臆面の無さに呆れて、宗三はすぐには反応も出来ない。
 気づけば薬研は既に宗三の肩を手で強く掴み、宗三が体を離すのを抜け目なく阻んでいる。このままなし崩しに押し倒されでもしたら、確実に体を繋げられてしまう。
「離してください、薬研、駄目と言ったら駄目です。簡単に仰いますけど、契りを結んで、あなたが精を放ったりなんかしたら、僕の体や服だって汚れてしまうでしょう。今この場が情交に相応しくないことをよく考えて……、」
「口でならいいだろう」
「! ッ、な、」
 宗三はかっと顔を赤らめて言葉を失った。
 真昼間からこの部屋で、薬研の竿に口で奉仕するなど想像したくもない。
 初めての夜に薬研から口での奉仕を受けたし、以後度々、閨で薬研から口淫をねだられ、それに応えたこともある。だが宗三にとって、自分のものより大きな薬研の屹立を口の中に含むのは、そもそも辛い作業だった。その上少年姿の所為か心も若く性欲の強い薬研は、口淫となるといつも以上に取り乱し、宗三を気遣うことなく己の快楽を貪ってくる。夜、自分の寝室で交わるときでさえ、薬研への口淫は宗三には避けたい性戯であった。
 宗三の困惑に頓着することなく、薬研は既に立ち上がり、宗三の顔の前でズボンの前留めを外し始めている。
「しゃぶってくれよ、宗三……口の中に出すのをそのまま飲んでくれりゃ、何処も汚さねえし、すぐ仕事に戻れるだろう? なあ……頼むからさ」
「………………、」
 大人びた低い声で、幼い者のように甘えた口調で宗三は薬研に頼み下ろされる。ひとたび情交が始まれば年上の宗三を老練な手管で翻弄するくせに、こういうときには少年姿の印象そのままの、宗三に頼るような稚いねだり声が薬研から放たれてくる。卑怯だ、と宗三は思うが、自らも幼い弟を持つ宗三は、年下めいた薬研から頼み事をされると断りづらい。無論それを、薬研はよく知っている。
「ッ………」
 宗三が躊躇っている間に、薬研は完全に己の竿を服から引っ張り出し、外気に晒した。
 薬研が言うとおりそれは既に猛っていて、竿先からはむせかえるような雄の匂いを放っている。確かにそのままズボンの内側にこれを収めておくのは辛かろう。
 今此処で薬研に応えるのは良識から外れた行為だとわかってはいても、強い性欲を裡に撓めた薬研に、宗三は同情を感じてしまう。
 それに自分の中にも、薬研に対する熱はある。
 薬研の望みを満たしてやることは、宗三の心をも悦ばせる。燃え移る炎のように、心臓から体中を巡る血が熱を帯びて四肢の先まで伝わり、虚ろに思える自分を満たしていく。酩酊したようなその状態が宗三は好きだった。
 薬研に逆らえないのは自分にも原因があるのだ。
 宗三はもう一度唾を飲んで、乾いた唇を舌で湿す。
 顔は相変わらず、ひどく紅潮したままだ。
「……………、…い、一度だけですよ………?」
 上方にある薬研の顔を見上げて、宗三は確認を取る。
「ああ、いいぜ」
 宗三が自分を宥めてくれる予感に、薬研のほうでも息を喘がせ、少年らしい滑らかな頬を赤く染めていた。
「………、」
 宗三は吐息をついて、改めて薬研の竿に向き直る。
 白い優美な手を伸べて、涼しげな顔の少年が生やすにはあまりに黒く、太くて醜悪なその屹立に、そっと指先で触れた。
「ふっ………、」
 途端に薬研の喉から押し殺すような呻きが漏れる。
 宗三は覚悟を決めて、薄い唇から舌を出し、薬研の竿に顔を寄せてその中程に舌で触れた。
「ンむ………」
 舌先に熱と苦味が走ったが、幾度か触れているうちにその違和感は消えた。
 薄い唇で上品に薬研の竿に口づけ、舌で唾液をまぶし、優しく竿を舐め上げていく。口での奉仕を受け入れた後には、口淫への拒否感は失せ、宗三は薬研の反応を確かめながら、宥めるように口で薬研の勃起をなぞっていった。
「っあぁ…、はぁ、そうざ………、すげぇ気持ちいい………、」
「んふ………、」
 陶然と薬研が声を漏らすのへ、宗三が呻くように答える。
 宗三の舌と唇が与える快楽に、下肢から力が抜けそうになるのをこらえて立ちながら、薬研は宗三を見下ろした。半眼に閉ざされた薄紅色の睫毛から、時折、黒と見まがうような深い青と緑の瞳が覗く。優美に下がった目尻は薄紅の髪より赤く火照っていて、整った鼻が時折薬研の皮膚に触れる。自分に奉仕する宗三の顔をもっと見たくて、薬研は宗三の額にかかった薄紅色の前髪を己の手でかき上げた。
「ン、ん…むっ…、」
 ぴちゃ、くちゃりと淫靡な音を立てて、宗三の舌が薬研の竿に唾液をなすりつけていく。雁裏を舌の中程で刺激され、熱と触感に薬研の勃起はますます強まり、鈴口が呼吸するかのように、先走りを滲ませながらぱくぱくと開閉する。そこへ宗三が白くて細い手を宛てがい、竿先を軽く握って、唇は竿の根元に当てたまま、親指の先で鈴口をこじり始めた。
「あッ、あぁ、はっ…、イイ………、いいぜ……宗三……、」
 少年の体は快楽の刺激に弱く、薬研はすぐに限界が近いことを悟った。宗三の奉仕をもっと受けたくて、放出を必死で堪えながら、薬研は宗三の頭を撫でていた。
 明るい色の髪を高々と結い上げた宗三の頭頂。その髪と髪の間に指を差し入れたくて、薬研は、頭頂部にある宗三の髪結い紐を解いてしまう。
「! ………やげん、」
 薄紅色の髪がはらりと顔の両側に滑り落ちて滝水のように揺らぎ、宗三は薬研の竿から口を離して叱責するような声を上げた。手早く済ませて午後の仕事に戻る約束なのに、許可なく髪を勝手に解いてしまった薬研への抗議だろう。
 その優しい顔で睨むように見上げてきた宗三に悪戯っぽい笑みを返して、淫熱の虜になった薬研は、宗三の細い髪の間に手を差し入れて頭皮を撫でた。
「続けてくれ……宗三。舐めるだけじゃなくて…きちんと咥えてくれ」
「……………、」
 息を喘がせた薬研に言い下ろされて、宗三はほんの少し目を歪ませ、諦めたように口を大きく開いて、その両唇で薬研の亀頭を包み込んだ。
「! ………ッ、く、」
 試すように軽く唇で挟まれただけで、薬研の腰がびくりと揺らぐ。薬研のものは宗三の口には大きく、口の中で竿先が震えるだけで、宗三は苦しげに顔を歪めた。
「ふゥ、ん、」
「っく………、」
 口中の粘膜の熱に触れて、薬研は既に余裕を無くしている。ぬめる口腔が竿先に当たり、宗三の舌先が雁裏に届いて、口全体の食むような動きと共に薬研の性感を刺激した。
「ッ、そうざ、もっと、」
 甘えるような声で言い下ろして、だがその両手は容赦なく宗三の頭蓋を掴み、口腔の奥へと横暴に屹立を突っ込んでいく。
「ゥッ、ンんン……! んむッ、」
 抗議めいた声を苦しげに宗三が上げたが薬研はそれに構いもしない。喉奥に屹立の先端が突き当たって宗三が嘔吐く。
「ンぐッ…、ンぅ、」
 大きな勃起を頬張らされて苦しげに顔を歪め、目尻に涙を溜めた宗三左文字の口を道具のように使って、薬研が乱暴に腰を揺すり始めた。
「ンっ、ぐッ! ふンゥっ…うぅ……ッ!」
 鼻先から漏れる宗三の息には本物の悲鳴が籠もっていたが、薬研は自分の意思を押し通した。湧き上がった唾液が宗三の舌や口腔を熱く濡らしていて、その中を出鱈目に突く度、竿と粘膜が擦れ合って薬研を快感に追い上げる。宗三が苦しいのを承知で喉奥に幾度も竿先を突き当てて、薬研は奪うように宗三を貪った。
「ッ…、は……やっべ………すげー、イイ……、ッ、そうざ……、」
 目を固く閉じて泣きながら堪える宗三の鼻が、竿の猛々しさの割りには薄い薬研の陰毛に幾度も埋め込まれる。薬研によって解かれた宗三の髪が、宗三の首を追うようにゆらゆらと揺れて薬研の目を眩惑した。
「ンッ、んぅッ」
 目尻に生理的な涙を滲ませながら、喉奥に異物を当てられる嘔吐感に宗三は必死で堪えていた。抜き差しの都度、口腔で掬いきれなかった唾液が宗三の唇から溢れ、下顎を汚していく。服を汚すのが嫌さに口淫を受諾したはずなのに、結局薬研は気遣いは一切してくれない。宗三は仕方なく、唾液が零れぬように、竿で歪められた口中で必死に唾液を啜り、先走り混じりの苦い液体を喉奥に飲み下し、顎を滴る液体を己の白い手で拭って、薬研の竿を口に含み続けるほかなかった。
 口中で唾液を啜り竿を吸い上げる宗三の刺激が、嫌でも薬研をさらなる淫楽へと追い立てていく。
「ッ、く、宗三、出すぞ……、」
 唐突に言うが早いか薬研は宗三の喉奥に一際深く屹立を突き込んで、そこで腰を震わせた。
「! ンぅッ……」
 呻く宗三の薄紅の髪を薬研は乱暴に掴んで、その顔が自分にも見えるように強引に顔を上向かせ、その上で、宗三の息苦しさも構わずに濃い精をたっぷりと宗三の口の中に撒き散らす。
「んぐッ…ぅ、ンぅう……!」
 白濁を服の上に零したくない宗三は必死に唇をすぼめて、薬研の精を全て口の中に受け止めた。
「ンっ、ぅ…ぐ………っ…!」
 半眼に目を瞑る宗三の、苦しげに紅潮した顔が、口を犯す薬研を満足させた。
 射精を終え、宗三の顔を上に向かせたまま、薬研はゆっくりと宗三の口から萎えた竿を引き抜く。竿先から糸を引いて精の名残が宗三の薄い朱唇に絡んだのを、薬研は笑み下ろしながら、白濁が宗三の顎に零れないよう、指で掬って宗三の口中に押し込むように戻してやった。
「んぐ………」
 顔を仰向かされて嚥下することも出来ず、精液を満たされた口中に無遠慮に指を突っ込まれて、宗三が苦しげに呻いた。
 ようやく薬研の手が竿同様に宗三の面を解放して、仰け反っていた宗三はやっと首を下ろす。
 生臭い精をいつまでも口の中に含まされて、宗三は吐き気すら催しかけていた。
「飲んでいいぜ、宗三、」
 萎えた大きな竿をしまいもせずに、薬研が低い声で満足そうに言い下ろす。口を開けず、酸素欠乏から立ち直れぬ宗三は、色違いの目に涙を湛えて恨めしげに薬研を見上げたが、それでも従順に、幾度か喉を開閉して少しずつ、濃い白濁を胃へと飲み下していった。
「……っ、はっ…、は、くはッ…、けほッ」
 飲み込んでなお喉に絡む濃い液体に閉口しながら、必死で息を整える宗三の前に、薬研がしゃがみこむ。薬研に強引に頭を揺さぶられた所為で、宗三のもともとしどけなく見える衣装は、今や完全に膝が割れていた。
 薬研の少年の手が遠慮もなく宗三の内腿に差し込まれてくるのに、ようやく宗三が気づき、竿に絡めて汚れた手を上げて、薬研に対し拒否と警戒の様相を見せる。
「っ、な、なんですか、薬研、」
 やっと息が整いかかった宗三が声を上げた。もう情を交わすのは終わったはずだ。
「おまえの摩羅も見せてみろよ」
「ッ、なにを言ってるんですか、薬研、駄目ですよ、っ口だけの…約束で……ッ、ひッ!」
 薄紅の髪を揺らがせて身を逃がしながら宗三が言ったが、薬研の手は既に宗三の竿を探り当てていた。
「ッ! ぁ、」
「勃ってるな………」
 下褌の下で頭を擡げている宗三の竿を見過ごすような薬研ではなかった。
 薬研の快楽に引きずられるように体に熱を溜めていた宗三の状況を、薬研は的確に見透している。
「や、薬研、」
「おまえのも擦ってやるよ」
「! や、やめてください、僕は結構で……、ッ、ひ、ンぁあッ!」
 肌着越しに敏感になっている竿を薬研に強く絞り上げられて、宗三は悲鳴を上げた。
 宗三の勃起を知って薬研の頬は再び紅潮し、色の薄い目には新たな情欲が灯っている。その事に気づいて宗三は怖じ気づいた。
「薬研………! 約束が、違うでしょう……!」
「俺っちは一度でいいさ。おまえに口で抜いてもらったからな。でもおまえはそうはいかねえだろう……こんなにしてたら」
 図々しい薬研の物言いに宗三は呆れと怯えを同時に感じた。
「あ、あなたがそんなふうにするから勃ってしまうんでしょう……! ぁ、もう、やめて……、は、ひッ………!」
 竿を擦り上げられて快楽に力が抜け、畳の上に頽れた宗三の体の上に、既に薬研は殆ど乗り上がっている。
「俺っちがなだめてやるよ」
 薬研は早くも空いた手で己の竿を扱き、勃起を復活させている。
「ッ………! や、薬研………!」
 薬研の意図を知って宗三は驚愕した。
 口淫による酸欠と、与えられる快楽で力の入らぬ細い体を薬研に俯せにひっくり返され、僧衣を着たままで衣服の後部を腰まで捲り上げられる。
「っぁ、や、だめッ………!」
 剥き出しにされた脚から膝裏、太腿、そして臀部に冷たい外気を感じて、宗三が身を捩った。薬研はごくりと息を飲んで、宗三の尻に触れてくる。
「あッ、あぁっ」
 朝方まで薬研に穿たれていた宗三の尻は、まだあちこちに指の痕や薄い歯形を残していた。下褌の上から薬研の指が的確に宗三の蕾を探り当て、ぐりぐりと下布ごと指を突き入れられて、強引に入り口を解し始めてきた。
「ひぃッ……! ぁ、やぁ………っ…!」
 剥いた白桃のような臀部の肌に、昨夜と同じく薬研の歯が当てられる。小さな口から伸びた小さな舌が、宗三の性感を無理矢理に煽った。薬研の手はついに宗三の下褌を取り払い、明け方まで散々犯されて未だ赤く腫れたままの後孔を空気に晒す。
「薬研………! 約束が、違………、ッぁあっ………!」
 宗三の抗議に薬研は口で返事はせずに、油薬で濡れた指を蕾んだ後孔に押し込んできた。
「はぁっ…ぁ、ひぃ………ッ…! や、抜いて………ッ…!」
 摩擦の無い指でぬるぬると内壁を刺激されて宗三ががくがくと身を震わせる。薬研は目を細めて、自らも宗三の痴態に淫欲を煽られながら、満足げに年上の恋人を見下ろした。薬研の刺激を受けて菊座から広がった血流が宗三の全身を覆い、白かった臀部は肩に広がる薄紅の髪より赤い。指を突き込まれて淫靡に悶える剥き出しの臀部と、きっちりと袈裟を肩まで着込んだ上半身との対比がひどくなまめかしくて、薬研のほうでも再び余裕を失い始めていた。
「突っ込んで……いいだろう、宗三……、」
 後背から低い掠れ声で言われて、宗三はびくりと肩を震わせた。




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