<其乃十三> 「…………、」 宗三左文字の同意を受けて、歌仙兼定は昂奮を強くする。 歌仙兼定は宗三左文字の後孔から屹立を引き抜いて、腰を上げた。 「あ……、」 歌仙兼定の手に握られ、先走りを溢す勃起の筒口が己の顔に向けられるのを見上げて、横たわった宗三左文字がさすがに身を竦ませる。 「宗三、左文字どの……、目を、閉じていてくれ」 「っ……、」 手で自ら雄を煽りながら言い下ろしてきた歌仙兼定の指示に従って、宗三左文字は目を閉じた。 その従順な様に、二振目の昂奮は最高潮に達する。 歌仙兼定は宗三左文字に更に近づいて、左手でその頭を持ち上げ、残る右手で勃起を力強く扱いて、宗三左文字の顔にぶつけるように精を解き放った。 「ッ……、く…………!」 「ンん……っ……!」 熱い液体を面上に振り撒かれて、宗三左文字が唇を引き結び、柳眉を歪める。 歌仙兼定の白い精は、宗三左文字の左の眉と広い額にまずかかり、次いで淡紅色の前髪とその下の右眉、閉じられた瞼、鼻先と、そして唇から顎までを瞬く間に汚していった。 「く………、」 歌仙兼定は意図して己の精を切れ切れに撒き、宗三左文字の顔だけではなく、左胸の蝶の紋様あたりまでを穢すように射出の向きを変えていった。 「っ………ぅ……、」 顔面から胸のあたりにまで熱を浴びて、宗三左文字は呻いた。 左右の瞼の上にも精はかかり、宗三左文字は目を開けることも出来ない。 歌仙兼定から放たれた熱はすぐに冷え、宗三左文字の鼻腔を生臭みが圧する。 「………、宗三左文字どの……、」 快楽を宗三左文字の上に解き放って、歌仙兼定が満足げに声をかけながら、己の精を宗三左文字の肌から掬い上げた。 「っ……」 目を開けられず、顔を拭うことも出来ぬ宗三左文字の手が、彼の戸惑いを示してか、世闇の中で木の葉のように揺らめく。二振目はその手を取って、一振目の傷痕が残る右の掌に己の精をなすりつけた。 「…………」 子供じみた行為だとは思いつつ二振目は、既に白濁で穢した蝶の刻印と同様に、宗三左文字の体に残る他の男の跡を、己の精で上書きせずにはおれなかった。世間知の低い宗三左文字は二振目の意図には気づいていないようで、掌を汚された自覚もなく、顔にかかったままの白濁を拭いたそうにしているだけだ。 宗三左文字の鷹揚さが今はありがたい。二振目は苦笑して宗三左文字の細い顎に手を延べ、宗三左文字の顔にかかった己の精を拭いながらその薄い唇に触れた。 「ンふ……、」 歌仙兼定の器用な手に触れられて、宗三左文字の朱唇が開く。思わずその内側に、精がついたままの指先を差し入れると、宗三左文字の薄い舌が伸びてきて恐れ気もなく指に絡んだ。宗三左文字は歌仙兼定の指についた白濁を舌先で舐め取って、そのまま口中に飲み込んだ。 「……………、」 宗三左文字の躊躇いのない精飲を目の当たりにして、歌仙兼定の喉がこくりと鳴る。宗三左文字はまだ顔に精が掛かったままで瞼を閉ざしていて、二振目の様子を窺い知ることは出来ない。 下腹部に宗三左文字への熱が再び滾るのを自覚しながら、歌仙兼定は宗三左文字の頬を手で撫でつつ彼を凝視した。先刻、強制して全ての精を宗三左文字に飲ませ、「好きでもない男の精を飲むのか」と彼を嘲ったが、そうではなかった、と歌仙兼定は今になって思い至る。 あのとき。愛する男の精だから、宗三左文字はそれを飲み込んだのだ。 そして今も。 それが他ならぬ『歌仙兼定』の精だから。 「…宗三左文字どの……」 「……か、かせん、」 呆然と呟く歌仙兼定の呼びかけに応えつつ、目を開けたくて、宗三左文字が声を上げる。小さく開かれた彼の口の中で、宗三左文字の唾液と、自分の精が少量混じったものが、濡れ光っているのが歌仙兼定の目に映った。 「宗三左文字どの、」 もはや彼への情欲が完全に蘇って、歌仙兼定は名を再び囁くなり彼を抱き寄せ、その唇に吸いついて深い接吻を仕掛けた。 「! ふっ! ン…ぅ……ッ、」 飢えを取り戻したかのような歌仙兼定の積極性に驚いて、歌仙兼定の腕の中で、宗三左文字が少しだけ身を捩った。歌仙兼定は構わず、己の精が残る宗三左文字の顔や体を撫で回しながら接吻を続ける。歌仙兼定が押し込んだ舌が宗三左文字の口中で彼の舌と絡み合い、歌仙兼定の熱は忽ちに宗三左文字に伝播していった。まるで枯れ草に燃え移る飛び火のようだ、と歌仙兼定は脳のどこかでちらりと考える。動くのは止めず、二振目は汗ばんだ裸身を宗三左文字の精に汚れた体に押しつけ、再びの猛りが相手にもわかるように、竿先を宗三左文字の萎えた竿へと擦りつけていった。 「っ、か、かせん、」 唇同士が外れ、歌仙兼定の下で宗三左文字が驚いて声を上げる。 「ぁ、あなたは、先程、もう、最後……と、」 「うん。その筈だったんだが」 歌仙兼定の応答に笑声が混じる。 そうしたときに相手に与えてくる支配感は一振目の歌仙兼定と酷似していて、宗三左文字は目を閉じたままひくりと身を震わせた。 「きみを見ていたら……、また我慢できなくなってしまった」 情欲に声を掠れさせ、勃起を宗三左文字の腰に擦りつけながら、ようように二振目は宗三左文字の顔を手で拭い終える。 宗三左文字が目を開くと、至近に二振目の顔があって、淫を強く灯した緑色の目が自分を見下ろしていた。 「……………、」 歌仙兼定に求められている、と理解した宗三左文字が、潤んだ色違いの目を瞠る。 「もう一度きみを抱きたい。いいだろう?」 「……、歌仙兼定、」 歌仙兼定の熱が己をも燃え上がらせてゆくのを自覚しながらも、疲労している宗三左文字がさすがに戸惑いを隠せずにいるうちに、歌仙兼定は宗三左文字の薄い体を俯せにひっくり返し、再び尻のあわいを探り始めた。 「……ッ! あ、ンぁっ…! か、かせん……ッ!」 抑止の声のつもりで宗三左文字は声を上げたが、喉から出たのは愉悦に掠れた喘ぎだった。 「ひィっ……!」 後孔にまたも歌仙兼定の指が探り入り、宗三左文字を内側から愛撫してくる。 「あッ……、ぁ…、」 四肢を踏ん張る力も無くして、宗三左文字は穿たれつつ床の上に頽れてしまう。 「きみとの約束を……、僕は果たしていないだろう……?」 後孔への刺激と共に後背から聞こえる、歌仙兼定の飢えた声。 「約束……? っ、何の、……ぁ、はァッ、」 歌仙兼定は宗三左文字の裡を探る指を止めずに、その背に身を寄せて、宗三左文字の耳の後ろから囁いた。 「僕がきみを穿ったまま……、僕がきみの中で果てて、同時にきみも果てたいときみは言った。きみの願いを叶えてあげる、と僕は言ったから……、その約束は果たさなくてはね、宗三左文字どの、」 「っ、か、かせん! ぁ、ンぁああッ!」 甘い熱を吹きかけながら歌仙兼定は宣言して、すぐに宗三左文字の後孔から指を引き抜いてそこに屹立を宛がうと、そのまま半ば強引に腰を落としてきた。 「ッく……、」 「ンぁっ、ひぃいッ! あ……ぁ……、はぁッ、あァあッ……!」 侵入してきた竿の先端が宗三左文字の愉悦の巣を突き当てて、宗三左文字は背を仰け反らせて声を上げた。 「あッ…やぁ……あ、かせん…………!」 「ああ…、やっぱり、きみは……、この体勢がもっとも感じるんだね……、」 宗三左文字の背に歌仙兼定の汗が降ってくる。竿を締め上げられ、放出に堪える歌仙兼定が陶然と呟いた言葉に、宗三左文字は羞恥と畏怖の双方を煽られた。 「ッ……そん……、」 屈従と獣性を強く感じさせる後背位で貫かれて悦んでいると指摘されて、その指摘を否定したくても、もはや宗三左文字の体は理性の制御の内には無い。 「もっと……、僕に、教えてくれ。きみの乱れ方を」 「ッ! ひィっ! あぁっ!」 若い二振目に急くように後孔を抜き差しされて、宗三左文字は淡紅色の髪を振り乱して喘いだ。 充分に拡がった後孔は苦痛など一切無く、今宵最初に犯されたときと同じ姿勢であっても、そのときより今やよほど二振目への親和感を強めた宗三左文字には、彼がもたらす快楽に抗う術は無かった。 「あッ、ぁ、駄目、……ッンぅ…っ、はぁっ、ぁッ」 「ダメ、と言うのは……、ふ、イイ、と、いうことだろう……?」 体を揺らがせながら二振目に言い下ろされて、宗三左文字は羞恥に眉根を寄せる。 「どうなんだい? 宗三左文字どの……。これ、気持ちいいのかい?」 「ッ、ん、ぅ、」 幾度も内奥深くを突き当てられて、宗三左文字は頷くしかなくなる。 「はッ、ぁ、そう、で……、ン、うぅッ、ぁ、きもち、いい…っ、やぁ……ッあ、あぁ、歌仙兼定……!」 「ッ……、」 ぐぷぐぷと接合部から淫靡な音が漏れる。名を呼ばれた歌仙兼定が、後背から体を強く密着させてきた。熱くなった肌と肌が触れ合い、汗で滑り、擦れ合う。歌仙兼定が手を宗三左文字の桃色に染まった胴に回して、脇腹から撫で上げ、項に口づけてきた。 「ひぁッ、ぁ、はァ、」 歌仙兼定の気配をいっそう強く感じて、宗三左文字は声を上げた。宗三左文字の舌先や鼻腔には、先程振り撒かれた歌仙兼定の精のにおいがまだ残っている。身体の内も外も歌仙兼定に満たされて、宗三左文字は快楽と同時に強い幸福を感じた。埋め込まれた歌仙兼定の竿先は宗三左文字の前立腺を的確に突き、体内で愉悦はどんどん強まっていく。 やがて、後ろから抱きかかえられるだけではなく、歌仙兼定は宗三左文字の胸に手を伸ばしてきた。精に汚された乳首が、歌仙兼定の器用な指に摘ままれる。 「! いッ、ひっ、」 外気に晒されていた乳首は歌仙兼定に捕らえられる前から、既に赤く腫れて尖っている。 後孔に受ける律動に合わせて、敏感になった突起を指先で弄くり回され、宗三左文字は愉悦に悶えた。 「ひィっ、ンぁ、あッ、」 「ふ、心地よさそうだね、宗三左文字どの……。乳首と同様……、こちらも、ひどく強ばってきたよ……?」 宗三左文字の肩越しに宗三左文字の竿を覗き込みながら、歌仙兼定が荒い息の合間に微笑を浮かべてそう言った。 歌仙兼定は乳首から手を放して更に下方に手を伸ばし、宗三左文字の竿を優しく掴む。 「ッ…! ひぁ、あァっ…!」 歌仙兼定の指摘通り、既に硬化を始めていた宗三左文字の竿は、歌仙兼定の手に捕らえられて数度扱かれるだけで、むくむくと立ち上がって先端を上向かせた。 「ああ……心地いいな……。きみの中を突きながら、こんなにもきみに触れて……、おまけに、ふ……眼福だよ。宗三左文字どの」 微笑しながら宗三左文字にそう声をかけて、しかし歌仙兼定は律動をやや緩めてしまう。 「っ……、ぁ、か、かせんっ、」 物足りなくなった宗三左文字は歌仙兼定の体の下で身を揺すった。 もっと愉楽が欲しい。 もっと歌仙兼定に支配されたい。 宗三左文字がそう望んでいるのは歌仙兼定にも明らかな筈なのに、歌仙兼定は、宗三左文字の竿を握る手の絞りさえ弱めていってしまう。 「かせ……、」 それが不満で、宗三左文字は喉から声を漏らす。 宗三左文字の要求は伝わったはずだが、歌仙兼定は後背から微笑むだけで竿を扱いてはくれなかった。 「膝を立てて、宗三左文字どの………、」 「ンぅ、」 快楽に力の入らぬ体に、そう言われても、と宗三左文字は呻く。 「欲しかったら、もっと、自分で、動いてごらん……。先ほど、僕の膝の上で、身を揺すったときのように。きみは、僕で、気持ちよくなりたいんだろう……?」 「……、うぅ、く、」 歌仙兼定に指示を受け、宗三左文字は唾液に汚れた唇をわななかせる。歌仙兼定の言葉に嘲りは無かったが、己の情欲と羞恥を煽られて、宗三左文字は紅潮した頬を更に色濃く赤らめた。 「か、かせん……、」 歌仙兼定の手は宗三左文字の竿から離れず、かといって扱くほどに強く握られてはいない。 「……うッ、ンぅっ…、」 宗三左文字は頽れていた腕に力をかけて、床の上から身を起こし、歌仙兼定の指示に応じ始める。 歌仙兼定の緩やかな抽送に自ら腰を合わせて抜き差しを深め、歌仙兼定の蕾んだ手中にある屹立を彼の指に擦りつけて、自らの快楽を己でもたらそうと努力する。一度掴んだ律動に乗れば、膝を立てて身を揺するのはそれほど辛くはなく、愉悦を高めようと宗三左文字はすぐに自ら積極的に腰を動かし出した。 「ぅッ、ぁ、ふっ、ン、ぅッ、」 宗三左文字が動く度、幾度も精を撒かれた後孔のとば口がくちゅくちゅと淫靡な音を漏らす。歌仙兼定の勃起を咥え込んだ宗三左文字の腸の粘膜が蠢き、歌仙兼定を締め上げて、宗三左文字だけでなく歌仙兼定も、情交による愉楽を強めていった。 歌仙兼定の手の中で、宗三左文字の竿もすっかり勃起して、先走りをたらたらと零している。溢れた先走りは歌仙兼定の指を伝って滴り落ち、宗三左文字が身を揺する度に落ちる汗と共に床を汚していく。 「ンぅっ、うッ、」 淡紅色の長い髪をゆらゆらと揺らして、宗三左文字は快楽を貪っていた。 「ふ………、凄いな…、」 感嘆したような、満足げな歌仙兼定の声が耳のすぐ後ろで響く。 宗三左文字は愉悦だけでなく羞恥によっても頬の熱を自覚する。 「あっ、あッ…、や……、腰、止まらな……、」 恥ずかしさを感じて体の揺らぎを押しとどめたくても、官能の波に飲まれた宗三左文字の体は、理性に靡いてはくれない。 「はぁッ…、は、っぁ、あぅッ、や、こんな、前と、後ろから、ッ、ンぁっ…あッ、」 開きっぱなしの唇から大量の唾液を顎に滴らせ、宗三左文字は喘ぐ。 「宗三左文字どの……、きみの、こんな淫靡な様を知っているのは、僕だけなんだね……、」 ぐぷぐぷと音を立てて後孔に屹立を抜き差ししながら、歌仙兼定が言い下ろしてくる。 「あッ、……あぁ…、歌仙兼定……、」 「ふ……、心地、いいよ……、宗三左文字どの……、」 「ッ、ン、ぁ、っあ、僕も……です…っ、ひぅッ」 「愛してるよ……宗三左文字どの………」 「! ッ、あ、」 「もう絶対に、きみを手放さないよ。たとえ死が二人を分かとうとも……、きみは、僕の、……この歌仙兼定のものだ」 「っ! ……ン…ぅ、あぁ……!」 一振目と二振目の区別も無く、後背の歌仙兼定から所有を宣告されて宗三左文字の心身が震え走った。 「はッ…ぁ、ああ、かせん……!」 「っ……、」 「ぁ、あ…もっと……、良くして……ッ、ンぁ、あ、もっと、僕を、あなたのものにしてください、歌仙兼定、」 「ッ、ふ、は、否やは無いよ、宗三左文字どの」 言い下ろすなり、歌仙兼定は手控えていた己の腰の動きを改めて、宗三左文字の内奥深くを強く抉り立てるような抽送に変えてきた。 「ンぅ、ひぃいッ、あぁッあ……っ!」 激しく揺すり上げられて宗三左文字が色違いの目を瞠り、舌先を両唇から零れさせて大きく喘いだ。 「ひッ、あぁッ、」 脳天まで痺れるほどの愉悦に襲われて、再び宗三左文字の下肢が頽れかかるのを、歌仙兼定の力強い手が支えて、更に奥深くに屹立を抉り入れてくる。 「ンっひ、ぅ、あ、はぁッ、」 宗三左文字の竿はもはや歌仙兼定の手の内にはないが、その屹立は限界近くまで膨張し、今にも爆発しそうだった。 「あッ、ぁ、やっ、…もう、イっ…、ひぃいッ…!」 「まだ……ダメだよ……、宗三左文字どの…………、一緒に、イくんだろう……?」 「ッ、ンく、くぅうッ」 歌仙兼定に指摘されて思い出したのか、宗三左文字は辛そうに眉を寄せ、射精を堪えようと歯を食いしばる。淫楽に溺れていながらもそんな素直な様が愛おしくて、歌仙兼定は己も限界を自覚しながら、宗三左文字に向けて微笑む。 「もう少しだよ……、宗三左文字どの、少しだけ、我慢しててくれ、僕も、すぐに達するから、」 「あッ、あ、かせん、かねさだ、」 深く突き上げられるのは止まず、しかし歌仙兼定に言葉で宥められて、宗三左文字は強すぎる愉楽と放出できぬ辛さの中で煩悶する。 「はぁッ、は、」 「っ、く……、もう……そろそろ……っ、」 歌仙兼定と宗三左文字、長い時間をかけて二人で一つの律動を生み出しながら、やがて、同じ愉悦の縁に至った。 「あッ…ぁ…、かせんっ……、ンぁあっ…、もう……、出……、ンぅっ、」 「ン…、ふ、僕もだよ……、今夜は……、本当に、これが最後になりそうだね…、」 歌仙兼定が下肢を組み替えて体制を整え、終局を迎える準備をする。 歌仙兼定の手が再び宗三左文字の屹立を握り込み、今度は本当に射精を促すように強く扱き上げ始めた。 「ッ…… 「ンぁッ! あ、ァ…! か、せ、……っ……、」 前と後ろから愉楽に追い立てられ、宗三左文字の声が高く掠れた。 「うん……、ちゃんと、イかせてあげるよ、僕で、きみを、突きながら……ッ、さぁ………!」 歌仙兼定が己の腰の突きに合わせて宗三左文字の雁首をひときわ強く絞り上げ、 「ンぅッ……う…、ひ、あぁッあぁ……っ…!」 心身の全てを歌仙兼定に捕らえられたままで宗三左文字はびくりと腰を震わせて、竿先から精を飛ばした。 「あ……、あぁ、く……、」 幾度も放った所為で白濁はさほど濃くはなく、量も少なかった。 宗三左文字の精は竿先を握ったままの歌仙兼定の手を汚し、短く迸ってすぐに絶えた。 「……、ふうッ、ぅ……、」 宗三左文字はぐったりと身を弛緩させ、歌仙兼定の竿に体内を埋められたまま床に頽れる。体の奥では歌仙兼定の竿が圧迫を強め、今にも破裂しそうだった。 「宗三左文字どの…っ…、く、僕も……、」 息を喘がせながら後背で歌仙兼定の声がして、内部の熱塊が膨張し、直後、歌仙兼定が腰の動きを止めて己を解き放った。 「ッ…、ひ……、ひぅ……ッ、」 爆発した歌仙兼定の熱が宗三左文字の体内を駆け上がってくる。 「あ……、あぁ………!」 内奥に射精を受けながら。 自分が完全に歌仙兼定のものになるこの瞬間が好きだったことを、宗三左文字は思い出していた。 「ッ……そう、ざ……、」 「ン…ぅ、はぁ……、は……、」 放出を終えて余韻に呻く歌仙兼定の竿は、宗三左文字の裡で萎え、存在感を弱めていた。だがそこから放たれた精は宗三左文字の体の奥を温かく満たして、歌仙兼定の匂いと熱が宗三左文字を征圧している。 体の外側は歌仙兼定の太い腕に抱きかかえられたままで、二人の汗が混じり合いながら、お互いの熱を伝え合い、そしてゆっくりと冷えていく。 度重なる情交と射精で困憊し、もはや気を失いかけなりながら、宗三左文字は、己の胴に回された歌仙兼定の手に指を伸ばし、彼の手に被せるように己の右手で触れた。 確かに存在する歌仙兼定の身体。 自分の体の傍に。 己の体の裡に。 「かせん…………。……僕の、歌仙、」 一振目の傷痕と、二振目の精の名残が残る宗三左文字の掌で歌仙兼定の手指を掴み、目から涙を溢れさせて、宗三左文字が幾度も呟く。 「……うん」 相手から所有を宣告されるように呼ばれて、二振目は微笑して頷いた。 宗三左文字の呼びかけに応えるように、厚みのある体を背中から彼の痩身に押しつけて、熱を残した細い首に唇を這わせる。 「っ、あぁ、は……、」 宗三左文字はぴくりと身を震わせて、安心したように微笑んだ。 「長い夜だったね……きみにも、僕にも……。夜明けまで、少し眠るといいよ、宗三左文字どの」 やがて歌仙兼定はそう言って、宗三左文字の体から竿を引き抜き、労るように相手の痩身を夜具の上に寝かせた。 仰向けに横たわった宗三左文字は泣き濡れた目に瞬きをして、半眼に歌仙兼定を見上げてくる。 「歌仙兼定………、」 歌仙兼定から一度離れた宗三左文字の手が。 求めるように再び歌仙兼定に伸ばされた。 歌仙兼定が覗き込むと、宗三左文字の右手が二藍色の髪をかき分けて、まだ紅潮したままの頬に触れてきた。 宗三左文字の右掌の傷が、二振目の頬を撫でる。 宗三左文字は歌仙兼定の顔を見つめて、涙ながらに微笑んでいた。 幸福と寂寥。 青と緑の色違いの目のように、異なる感情が同時に一つの面に宿っている。 宗三左文字のその微笑を、二振目の歌仙兼定は、この上なく美しいものとして凝視していた。 「あなたが、僕を、愛してくださるように……、僕にも、あなたを、愛させてください………、」 かすかな息と共に宗三左文字が囁く。 「それで、いいんですよね……? ……歌仙兼定…………、」 「……ああ。そうだよ」 情交とは別の熱が、二振目の歌仙兼定の心を満たす。二振目は、低い声で優しく肯定しながら、宗三左文字の体をそっと抱き締めた。 一振目と二振目。 心の同じ場所に、ふたりの歌仙兼定を住まわせる。 それに遂に納得し、二振目の腕の中で安心を得て。 疲労した宗三左文字はようやく、引きずり込まれるように眠りに落ちていった。 |
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