<其乃三> 「び…………、びやく………?」 思考が言葉に追いつくまでにたっぷり二十拍はかかった。 「媚薬だって!?」 妊娠、と言われたときと同じほどに仰天して歌仙兼定は目を瞠る。 宗三左文字の左手には、薬を入れた蛤殻が握られていた。 「経口も効きますが、女陰に塗るともっと効果がある、と薬研藤四郎は言っていました」 歌仙兼定の動揺に気づいたふうでもなく宗三左文字は言って、蛤殻の薬に薬指を浸すと、そのまま歌仙兼定の女の場所をその指でまさぐってくる。 「いや、ま、待ってくれ、宗三どの……! ッ! ひァ、あッ……!」 油薬の付いた指で秘唇の内側を撫でられた途端、それまでとは比べ物にならぬほどの甘い痺れが体に走って、歌仙兼定はびくりと身を震わせて仰け反った。 大きな乳房がたわわに揺れて宗三左文字の目を幻惑した。 「歌仙……感じるのですか? 僕の、指……」 「ッ、ンぁあ、やッ、やめて、くれ、ッ駄目だ、それッ、ン、ぁ………!」 宗三左文字の指がついに歌仙兼定の肉芽を探り当てて、媚薬に濡れた指でその場所を執拗に撫でてくる。くちゅくちゅと淫猥な音がして、歌仙兼定当人にすら自覚できるほど愛液が多量に溢れ出してきていた。 「ああ……僕の、手首まで、あなたの汁で濡れてきましたよ……薬が本当によく効いたようですね……、」 初めて見る歌仙兼定の、文字通りの痴態に、声を上ずらせながら宗三左文字が言い下ろしてきた。 「っ、ぁ、あぁ、宗三……どの…っ、」 快楽が脳すら痺れさせて、歌仙兼定は次第に理性を失いつつあった。 自分の女の姿も女としての痴態も、いつもは快楽に泣かせるばかりの宗三左文字に今や翻弄されていることも忘れて、歌仙兼定は啜り泣くように懇願した。 「ッ…ゆび……、っもっと、挿れて……ッ、ンぁ、」 体の疼きに負けて、宗三左文字の手首を下肢で挟み込み、身を捩りながら歌仙兼定が言う。 「奥まで………? こう……ですか……?」 宗三左文字が手馴れぬながら、男にしては繊細な指を複数本、歌仙兼定の奥までゆっくりと突き込む。 「ッひぃンっ! うッ、ぁ、そ……それ……ぁあッぁっ……ぅ……!」 二藍色の髪を振り乱し、頬を真っ赤に火照らせて、泣くような声で歌仙兼定が呻く。 宗三左文字はそれに愛おしさと可愛らしさの双方を感じて、薄い唇に笑みをのぼせると、身を屈めて歌仙兼定の唇の端に口づけた。 「ンぁっ…はふ……、宗三どの……、っ挿れて…………、」 唇と唇が離れた途端に、歌仙兼定の懇願が再び始まる。 淫靡な音を立てて、宗三左文字の指は歌仙兼定の秘部をこねくっている。 「指は、入っていますが……」 生真面目に答えた宗三左文字に対し、歌仙兼定は首を横に振った。 「ちが……ッぁ、さ、さっきの……っ」 「………僕の、竿……ですか………?」 「っ………ンぅ…、」 歌仙兼定が目尻を赤く滲ませながら頷く。 「……あれ、もいちど、っ欲し………、ぁ、」 「しかし……痛くは無いでしょうか? あなたの場所はまだ狭いから……」 「ッ……」 歌仙兼定は汗が飛び散るほど強く首を横に振る。 「埋めて……くれ、さっき…みたいに……っ、は、痛くても、いいから、」 「歌仙………、」 「っきみのが……ない、ほうが、つらい……、」 「は……、」 吐息のように、宗三左文字の口から笑みが漏れた。 宗三左文字の、桜花が匂い咲くような艶やかな微笑を歌仙兼定は見上げる。 「宗三どの……、たのむから、」 女の指になった手を伸べて、宗三左文字の竿を愛おしげに擦りたてながら、歌仙兼定が重ねて懇願する。 宗三左文字の竿は歌仙兼定の手の中で、忽ちに硬さと大きさを取り戻していった。 「……ええ。わかりました」 宗三左文字の高雅で謹直な声。 「歌仙。挿れますよ。……力を抜いて」 少しだけ腰を離し、肉感の強い歌仙兼定の太腿を持ち上げて宗三左文字が言い下ろした。 「僕はあなたが好きですよ……あなたがどんな姿でも」 「ッ………、」 恋人にそう言われた切なさと多幸感に歌仙兼定が顔を赤らめている間に、宗三左文字が再び侵入を開始した。 「ッ、ぁ、あァッ! っぁ……ぁくあッ……!」 突き入れられたと感じた途端に、信じられぬような愉楽が歌仙兼定を襲って、歌仙兼定は声を上げて女の体で宗三左文字に縋りついた。 「ッ、凄い……あなたの、中……、さっきと、全然、違います、ッ……ン……っ、」 歌仙兼定の熱く濡れた粘膜が宗三左文字の竿を包み、舐るように刺激してくる。宗三左文字のほうでも達しそうになるのを必死にこらえながらさらに腰を進め、竿先が歌仙兼定の奥深くを抉った。 「ひぁあッ…あァ……、あぁ……ン……!」 宗三左文字の薄い胸板に覆い被さられて、歌仙兼定の大きな乳房が潰されて歪んだ。 「あッ、ぁっ」 皮膚に乳首を擦られる触感さえ快楽に上乗せされ、歌仙兼定は声を上げることしかできない。 媚薬による愉悦は破瓜の痛みなど軽々と吹き飛ばし、歌仙兼定は足を組んで宗三左文字の腰に巻き付け、快楽の持続をねだって腰を揺さぶった。 「そうざ……どのッ、ぁ、ンあっ、」 元来が男性的で直線的な性質の歌仙兼定のこととて、欲求も直截で力強かった。 「歌仙……、歌仙、」 耳元で名を幾度も囁かれているのも殆ど聞き取れず、歌仙兼定は宗三左文字の突き上げに身を任せて愉楽を貪っている。 「歌仙……、心地、いいですか……?」 暫く穿たれる間にようやく、宗三左文字の声が歌仙兼定の耳に届く。 「ッ、ン、いいよ、気持ち、いい、」 「よかった……、ふ、僕でも……あなたの、お役に、立てて……、歌仙、僕も、あなたを抱いて、とても気持ちいいですよ…、」 「っぁあ、宗三どの……、もっと……、もっと……! ぁ、あぅっ……!」 結び合う場所はしとどに濡れて、突き上げの都度に淫靡な水音が響く。 「歌仙……、は……、確かに、気を遣りましたね……?」 腰の動きを緩めずに宗三左文字が問うて、歌仙兼定は快楽の中で頷いた。 「ン、」 「もう一度、あなたの中に 放出を堪えるような顔で宗三左文字がそう言って、再び歌仙兼定の体内から屹立を引き抜いた。 「ンぁあ、ぁ、そう…ざ…、」 もっと愉楽が欲しくて鼻を鳴らした歌仙兼定の女の体を、宗三左文字が俯せに仕向ける。 「あなたがいつも僕を抱く形で、睦み合いたいのです」 「ッ…え、ま……っ、」 宗三左文字の指しているのが後背位だと気がついて、歌仙兼定の汗ばんだ白い背から拒否が立ち上った。 「待ってくれ、いやだ、宗三左文字どの、」 慌てて身を捩り、獣の姿勢でつがうのなど御免だ、と言い募ろうとしたが、宗三左文字の存外に強い力で歌仙兼定は姿勢を押しとどめられてしまう。 「もっと足を広げてくださらないと、女の壺に僕のものが入りませんよ」 歌仙兼定の両脚の間に己の骨ばった膝を押し入れながら宗三左文字が指摘した。 脚を大きく開かされ、臀部に宗三左文字の屹立が触れてきて、背に相手の熱を感じる。 「っひ……、」 その獣性と屈従感、見えぬ位置から侵入を受ける恐怖に歌仙兼定は藻搔いたが、宗三左文字の手に尻の柔肉を掴まれて逃げることは叶わなかった。 「綺麗ですね……女性になったあなたのお尻の形……触りごこちも、よくて……。歌仙。こちらから挿れさせてください。あなたがいつも僕にしているみたいに、僕も、あなたを征服してみたいのです」 歌仙兼定の背に汗を滴らせながら宗三左文字が後背から言い下ろす。 直後に、宗三左文字の怒張が、既にぐずぐずに潤った歌仙兼定の秘肉を奥深くまで抉ってきた。 「! ッヒィ…ぁあッ! や、ぁ、あぁアッ……!」 挿入される快楽に被征服感が拍車をかけて、歌仙兼定の体全体が震え走った。 「あッ、ぁ…う……くひィ……ッ……!」 「! っぁ……、」 歌仙兼定の肉体の変化に宗三左文字が驚いて呟く間に、膝を立てて這いつくばり宗三左文字の竿を埋め込まれた歌仙兼定の秘部が大量に潮を吹き、二人の下肢を濡らした。 「ッ………、ぅ、……っく……、」 性が変わったとはいえ確実に自分の体であるのに、まるで制御が利かない。 恥辱が強すぎて、歌仙兼定は息も継げず、止められぬ快楽と屈辱感に打ちひしがれている。 「え……これ……、尿……では、ありません…よね……?」 男女の交わりの知識を持たぬ宗三左文字から問い下ろされて、歌仙兼定は羞恥をいっそう煽られた。 「知……らな……、ン、ぁッ、うっ、……!」 歌仙兼定は目に涙を滲ませて、汗ばんだ豊満な体を震わせながら布団の上に頽れている。 宗三左文字の色違いの目に、常とは違った支配的な光が宿っていた。 「歌仙。……そろそろ、動きますよ、」 「! ひぅッ! ぁッ、ダメ、」 宗三左文字は歌仙兼定の制止を聞かず、相手の反応を図るようにしながらも腰を揺らがせ始めた。 「ひッ! ぁあ、ンぁあッ……!」 幾度も突き込まれて、これ以上無いと思っていた愉楽と屈辱の到達点が歌仙兼定の裡でさらに高まっていく。 「あっ…や、もう……赦して……くれっ、謝る…から……! ンぁっ! くぅンッ!」 もはやどのように宗三左文字に突かれても快楽から逃れられず、歌仙兼定は二藍色の髪を振り乱して、後背から犯されるままに喘いだ。 「いつも……あなたは、僕がどんなに頼んでも、手加減はしてくださらないでしょうに……、っ…」 嘲りまではいかず、苦笑と微笑の中間点くらいの笑みをはきながら宗三左文字が言い下ろした。 まさしく宗三左文字が指摘したとおり、日頃後背位で宗三左文字を抱くことを好む歌仙兼定は、今や意趣返しのように宗三左文字に後ろから抉られている。 「あッ…あぁ……気が…狂いそうだ……っや、宗三……どの……ッ!」 ぐぷ、と音を立てて一段と深く竿を押し込まれ、宗三左文字の体が丸みを帯びた歌仙兼定の女体に覆い被さってきた。 「あなたの、この体を……、もっと、堪能したいのです、歌仙、」 後背から回された手が、歌仙兼定の両の乳房を掴み、ぴんと尖った乳首を嬲るように摘んでくる。 「ッひぃ、ンぁッ」 歌仙兼定の剥き出しの背に、宗三左文字の胸板が当たってくる。薄い舌が歌仙兼定の耳裏を辿って、耳の端に軽く歯を立てられた。 「ふふ……あぁ、歌仙……、もっと、あなたを支配できたらいいのに、あなたがいつも僕にしているみたいに……、」 宗三左文字の細く長い指が歌仙兼定の乳房から離れて唾液を垂らすその顎を辿り、開きっぱなしの唇裏を指先が撫でる。 「あなたのこの唇も、お尻の穴も、もちろん女の穴も……、ぜんぶ僕で満たせればいいのに、」 「っひッ」 抽送をやめぬまま、宗三左文字が毒のような支配感を歌仙兼定の耳に吹き込む。 「僕の、ですよ……? 歌仙兼定……。誰にも見せないし、触れさせないし、このような、あられもない声も、誰にも聞かせたりいたしません」 「ッ、ンぁ、っふぁうッ」 宗三左文字の指が歌仙兼定の舌を捕え、弄んでいた。 「ほんとうは、興味があるのです……。あなたの 「ッ………!」 孕む、と聞いて歌仙兼定の身がびくりと硬くなった。 快楽と被支配感の上に恐怖が募り、歌仙兼定の体全体が緊張して収縮し、秘肉が宗三左文字の竿を強く締め上げる。 「ッ、く……、そんなに、締めたら……、」 既に限界近くまで達していた怒張を絞り上げられて、宗三左文字が苦しげな声を上げた。 「もう、このまま、射精しますよ、歌仙、」 「! ッ、や、っだ、駄目だ、僕の中に子種なんか撒かれたら、」 妊娠の可能性に恐怖するあまり、女の身を恋人に抱かれている目的も忘れて、歌仙兼定が拒否を叫ぶ。 「中に、射精さないと……、治療に、ならないでしょう、歌仙……! っくッ……!」 宗三左文字は赦さず、そのまま突き入れを差し止めて歌仙兼定の裡で己を解放した。 「ッ……! ひ…ぁう……うぅ………ッ!」 媚薬で敏感になった秘部の中で宗三左文字の怒張がドクリと大きく脈打ち、放出が始まる。 ドクドクと奥深くに精が注ぎ込まれるのを、後背から犯されたままの歌仙兼定は身を震わせて受容するしかなかった。 「あッ…あぁ、熱……、ン、ぁあッ………!」 力なく寝具にしがみつき、歌仙兼定もまた、男の宗三左文字とは違う女の体で絶頂を迎える。 「あっ……ぁ、そう……ざ…どの……っ…! ぅ………、」 愉悦が継続している歌仙兼定の体内から宗三左文字が萎えた竿を引き抜いて、ぐったりと頽れた歌仙兼定の体を再び仰向けにさせた。 「歌仙……、僕の、歌仙、」 「ン、ンぅ、」 しどけなく開いた歌仙兼定の唇に、宗三左文字の接吻が降ってくる。 「ンっ……ン…、む……、」 宗三左文字の手が、もはや躊躇うことなく歌仙兼定の乳房に伸びて、形を撓めるように揉みしだいた。 優しい接吻の合間に。宗三左文字の陶然とした声が響いた。 「あなたが女のままでも。ずっと愛して差し上げますからね」 「ッ…………、」 歌仙兼定の潤んだ緑色の目が見開かれ、やがて切なげに歪められた。 女の愉悦はゆっくりと体から去りつつあったが、宗三左文字の言葉が、歌仙兼定の深いところを再び悦ばせたような気配があった。 男のままに残っていた理性が、脳裡でそれを必死に打ち消していたが、 「もう少し、睦み合いましょう……歌仙、」 宗三左文字の高雅で柔らかな声が頭上から降ってきて、蛤殻の油薬に濡れた彼の指が、再び歌仙兼定の口中に侵入してきた。 「ンぁ……ンん、ぁふ……、」 もはや自ら舌を指に絡ませて、歌仙兼定は媚薬を喉の奥に飲み下した。 再度体内に湧き起こった熱は確かに歌仙兼定の女の場所を疼かせて、歌仙兼定は再び理性を喪失した。 情欲の虜と化して、女の体の全てで歌仙兼定は宗三左文字に奉仕し、夜が更けるころには、仰向けに横たわった宗三左文字の体の上に自ら乗り上がって、嬌声を上げて腰を振っていた。 |
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