<其乃二> 「うッ…ン…ぁ………ッ!」 場所を寝所の寝床の上に移してから、歌仙兼定の手は一層容赦なく宗三左文字を煽っていった。 躊躇うことなく帯を解き、襟を肩から引きはぎ、宗三左文字の服の裾を割ってその奥の太腿に触れる。 「あッ…か…かせん……っ」 以前あんなに見せることを厭っていた信長公の刻印。それすらも歌仙兼定の前に露わになる。 歌仙兼定が射殺すような視線で蝶の刺青を見ていることに気づき、宗三左文字が思わず身を引こうとするのを、歌仙兼定は腕を捕らえ、宗三左文字の頭上で彼の腕を二本まとめ上げて、宗三左文字の体を寝床の上に押し倒した。 「ひッ…あぁッ……!」 刺青のすぐ下の乳首を唐突に舌で嬲られて、刺激に宗三左文字が身を震わせる。首が仰け反った拍子に、淡紅色の長い髪の一房が歌仙兼定の顔をくすぐる。歌仙兼定はそれを手で払いのけて、宗三左文字の左の乳首に唇をつけ、舌で舐め上げ、ときには軽く歯を立てた。 「いっ…! や……、歌仙兼定……! っやめ……ッ」 今まで身に与えられたことのない強烈な刺激に恐慌を起こして、宗三左文字が身を捩りながら懇願してくる。 「やめて、くださ……ッ、あぁッ……!」 啜り泣くような嘆きと淫楽の喘ぎを同時に宗三左文字は口に上せている。その態度が歌仙兼定の征服欲を煽るだけだということには、まったく気がついていない。歌仙兼定は乳首を責めるのをやめず、乳輪の端に口をつけて強く吸い上げ、ここにも接吻の痕を残していった。 宗三左文字の肌着の中に手を差し入れて、歌仙兼定は、ついに直に、宗三左文字自身に触れていく。 「ッ……ぁ…ンぁッ………!」 もう充分に身体の他の場所で淫熱を煽られてきた宗三左文字のそこは、熱を持って硬く強ばりかけていた。 「ふ……、身体は正直だな……宗三左文字どの」 自分自身も情欲に声を上ずらせながら、歌仙兼定が微笑して宗三左文字を見下ろす。 その気配には、宗三左文字が最も嫌う、宗三左文字への一方的な強い征服欲がこもっていた。 歌仙兼定を見上げながら、顔を赤らめた宗三左文字が、くしゃくしゃと泣き崩れた。 「……僕が望まぬことはしないと、あなたは言ったのに……!」 「望まない? これを?」 宗三左文字の顔を見下ろしたまま、宗三左文字自身を掴んだ歌仙兼定の指が竿先を上下する。 「! ひッ…!」 いきなり与えられた強い刺激に宗三左文字の背がびくりと撓った。 「きみは知らないだけで……、きみの体はこれを望んでるんだよ……ごらん。どんどん硬くなってきた」 「っや……、やめ……、ッあぁっ…!」 擦り上げられて、宗三左文字のものは見る間に屹立していく。宗三左文字の腰から肌着をすべて奪い去り、あられもない姿になった宗三左文字を更に煽っていきながら、歌仙兼定は初めての快楽に惑乱する宗三左文字の体や表情を堪能する。 「歌仙、兼定……! いやだ……ぁ、ひぃッ…!」 口に拒否の言葉を上せるのは屈服感と、未知だった強い快楽への恐怖の所為だろう。宗三左文字の体はその持ち主の心を裏切るように、歌仙兼定が指摘したとおり、初めて知る淫熱にすっかり耽溺していた。 「ンぁっ、か、歌仙兼定……!」 抵抗する力も失って、歌仙兼定の手に擦り上げられるままに、色違いの潤んだ瞳に涙を溜めながら宗三左文字が喘いだ。 宗三左文字の白い肌の全身に血が巡り、淡紅色の髪と同じ色に染まっていく。宗三左文字と同等かそれ以上に昂奮を感じている己を自覚して、歌仙兼定は情欲の赴くままに、宗三左文字の屹立に己の唇を近づけた。 「! ぁッ……ぁ…ひぁッ……!」 唇で竿先を撫でられ、次いで舌を絡められて、宗三左文字は高く掠れた声を漏らした。熱を持って震える屹立は瞬く間に先走りを分泌し、歌仙兼定の舌先に苦味が伝わる。 「やッ……やぁ…、や…め…あぁッ……ぁ……!」 もはや言葉を紡ぐこともできず、宗三左文字ががくがくと身を震わせて喘ぐ。宗三左文字の限界が近いことを歌仙兼定はよく承知していて、口中に宗三左文字の竿先を咥え込むと、放出を強制するかのように勢いよく吸い上げた。 「ひッ……ぁ、あ…ぁぐっ……ンぁあッ………!」 びく、と宗三左文字の腰が勢いよく跳ね上がる。当人の自覚も無いうちに始まった精の放出を、歌仙兼定はすべて口の中に受け止めて、最後まで宗三左文字の屹立から唇を離さなかった。 「あっ…ぁ、はぁ……ッ、」 射精を終えて硬さを失った宗三左文字の竿から口を離し、歌仙兼定は懐から懐紙を取り出して、その中に宗三左文字の精を吐き出した。 「人に慰撫されて精を吐くのは初めてだったかい?」 新たな懐紙で口先を拭いながら、歌仙兼定は宗三左文字を見下ろす。 「…はっ……、っは……、か、歌仙兼定、……」 涙と汗に汚れた赤らんだ宗三左文字の、疲労を溜め屈服感に満ちた顔。 彼の体をもっと深く歌仙兼定が支配できると知ったら。 宗三左文字はどんな顔で泣くだろうか。 この期に及んでなお無知なままの宗三左文字に憐れみを感じぬわけでは無かったが、もはや歌仙兼定は、己の欲情を宗三左文字に対し押し止めておく同情心を持ち続けることができなかった。 「きみの体には。きみの知らない快楽の感じ方が備わっているんだよ」 左手で己の袴の紐を解きながら、歌仙兼定は組み敷いた宗三左文字の紅潮した頬に右手で触れた。 「っ………」 強引に射精を果たさせられた宗三左文字の顔が、悲しげに歪む。 寝乱れた淡紅色の髪の下で、息を喘がせて上下する剥き出しの薄い胸に、信長公の烙印が目もあやに浮き上がっている。 宗三左文字を欲する歌仙兼定にとって、信長の刻印は確かに邪魔な代物だった。 「自由になる、か。……無駄なのに」 「! ……………」 昨日の、宗三左文字のひとりごとを受けた言葉を歌仙兼定が呟く。それを耳にした宗三左文字は色違いの目を大きく瞠り、顔を暗く曇らせた。 「きみは僕の目の前に舞い降りた鳥だ。きみを僕が捕まえた。……こうして」 宗三左文字の顎を捕らえ、その唇の内側へ親指の先を差し入れる。 「っ…、く、ぁふっ……」 逆らう気力も無く、目を半眼に閉じただけで、宗三左文字は歌仙兼定の指を唇の中に受け入れた。宗三左文字に己の親指をねぶらせながら、歌仙兼定は小鳥を捕まえた猫が喉を鳴らすように、満足げに宗三左文字を見下ろした。 「ここには信長公はいない。だから、きみは僕だけのものだ」 「! ………、」 歌仙兼定から初めてはっきりと所有を宣言されて、それを拒みたいというように、宗三左文字の首が弱々しく横に振れようとした。歌仙兼定は宗三左文字の顎を捕らえ直して、その行為を押し止める。 「きみを捕まえて、二度と自由にはさせない。籠が嫌なら、金の止まり木と足輪を用意して、ずっと僕の部屋の中、寝所のそばに繋いで、きみという鳥を傍に置いておく」 「……か、かせん、」 「主の目にも、他の男の目にもきみを触れさせない」 「っやめてください……っ、」 それは織田信長や徳川家が宗三左文字に為したことよりさらに酷い仕打ちの宣告だった。 「きみに色目を使う男は殺す」 ぎらついた歌仙兼定の視線に本気を悟り、宗三左文字は声も失い、怯えた目で歌仙兼定を見上げた。 涙と汗に滲んだ、緑と青のふたつの瞳が、歌仙兼定ひとりを映している。 その優越と満足。 「戦場にもきみを出さない。僕を置いて勝手に死んだりなど、されては困るからね。傷の一つも、きみの体には作らせない。………いや」 衣服の腰帯を解き、襟をくつろげて、殆ど裸になった歌仙兼定が宗三左文字を見下ろし、暗く笑った。 「僕がこれからきみに作る傷くらいは、きみに許容してもらおうかな」 「……ど…、どういう意味ですか……?」 歌仙兼定の気配に怯え、顔を青ざめさせながら、宗三左文字が掠れた声で聞いてきた。 「今、教えてあげるよ」 歌仙兼定は服を脱ぎ、全裸になった。既に裸に剥かれた宗三左文字の腰に手を当てて、その薄い体を俯せにひっくり返す。 「ひッ………!」 臀部を持ち上げて白い尻たぶに舌を這わせると、宗三左文字の腰がびくりと引き攣った。 |
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