<其乃六> 座って見張りをしている筈が、少しだけうとうとと微睡んでしまったようだ。 燭台切光忠が気づいたときには、外は薄暮も終えた後らしく、地蔵堂の中は一層暗くなっていた。 夜目に慣れた燭台切光忠の隻眼に、傍らで眠る一期一振の白い背中が見えた。 その肩は記憶より四角く、肉付きも柔らかさを失っていた。男としては華奢であっても、一期一振が既に女の肉体ではないのは明白だった。 自分が一期一振に触れられる時は去ったことを燭台切光忠は理解した。 「……ちぃちゃん」 それでもその呼び名を口に囁き、女身ではなくなったのを確かめるように一期一振に体を寄せて、背中側から抱いた者の顔を覗き込む。男に戻っても相変わらず端正な一期一振の横顔が、燭台切光忠からは窺えた。髪と同じ淡木賊色の睫毛に縁どられた目は閉ざされていて、一期一振はまだ目を覚ましてはいないようだ。 先刻の記憶よりも骨ばって長く伸びた一期一振の腕の奥から、平板な胸が覗き見える。胸板も乳首もまさしく男のものでしか在り得ず、燭台切光忠は、彼の『治療』が完全に済んだことを知った。 「ちぃちゃん……」 火傷痕の残る手を伸べて、燭台切光忠は一期一振の男の肩に触れる。 男姿の一期一振の裸身を見るのはこれが初めてだった。 女の身の一期一振は可憐だったが、男の一期一振もやや華奢な体格で、燭台切光忠と比べれば、本人が言うように小兵ではあった。 それでもその体からは、眠っていても尚、黒金の鍔章を与えられた者に相応しい気品と矜持が感じ取れる。 燭台切光忠は吸い寄せられるように一期一振の体に見入った。 「ん……」 肩から鎖骨に手を伸ばし、顎に指が触れると、一期一振がかすかに呻いて寝返りを打ち、顔をこちらに向けてきた。目覚めたか、と思ったが、瞼は閉じたままで、吐く息も未だ深い。 一期一振の艶やかな顔を撫で、人差し指の腹で下唇の端に触れる。女身だったときより少しだけ弾力を強めた唇肉。男らしい太い指先で幾度かなぞっているうちに、その唇がわずかに開かれた。 「…………」 触れてはならぬとはわかっていたが、先の記憶の鮮烈さのままに、燭台切光忠は身を屈めて一期一振の顔に唇を寄せた。 「ん……」 口の端に口づけると、その唇はいとも容易く開かれた。誘われるように燭台切光忠はその両唇に吸い付く。 「ん…、ふ、」 眠りながらも一期一振の裡にも、先程まで睦み合った名残が残っているのだろう。怯えも拒否感も戸惑いも無く、一期一振の舌が燭台切光忠のほうへ向けて伸びてくる。男と女ではなく男同士となった今、接吻は唇と舌が力強く絡んで、燭台切光忠は庇護欲より征服欲を刺激された。 「ン……ふぁ…、」 一期一振の体の上にのしかかり、片腕にその身を抱き寄せて、残る片手で燭台切光忠は一期一振の裸身を撫で回す。 接吻を続けながら素手で一期一振の肌を辿り、太刀を握り慣れた硬い指で背骨から臀部までを撫で下ろした。 「ン……ん、」 その触感に触発されたのだろう。 喉からくぐもるように呻き声を上げていた一期一振の長い睫毛がゆっくりと開いて、至近にある燭台切光忠の面を認める。 「ッ……、」 接吻を続けられたまま、目を覚ました一期一振の瞼が驚いたように大きく開かれた。 「っ! ぷぁ、ッ、は、ッ、みつ、どの、」 頬を紅潮させて、一期一振が燭台切光忠から唇をもぎ離す。 燭台切光忠は一期一振の驚愕に構わず、却って彼の体を捕らえるようにその上に覆い被さった。 「ちぃちゃん……、僕たちは、まだ、恋人同士だろう……?」 息を喘がせ、上ずった声で囁いて、燭台切光忠は一期一振の体を片腕で抱え直す。 残る片手は一期一振の乳首を掠めて裸身を下方へ辿り、先刻には存在していなかった男の象徴を指の中に掴んだ。 「! ッ……、」 一期一振がびくりと身を震わせて息を飲む。 燭台切光忠は頓着せず、手の中の一期一振の竿をゆっくりと撫で上げた。 「っ、ぁ、な、なに、」 女身のときとは違った刺激に、一期一振の顔に緊張が走る。 「さっきは女性の体だったけど……、今は男性の体の、きみに触れているんだよ」 噛んで含めるように言い聞かされて、そこで初めて、一期一振は己の身体の変容を自覚したようだった。 「あッ、ぁ、みつ……どの…っ、」 視線を腰に下げて自分の体を見下ろし、確かに男に戻ったことを認めてから、一期一振が困惑して燭台切光忠の顔に視線を戻した。 「ッ……体、が……戻りました、なら、……っ、もう、触れてくださる必要は、な、ッ、ンぁ、あぁっ…! や……ぁ…ッ…!」 逃れるように身を捩ったところを、却って燭台切光忠に竿を強く擦り上げられて、一期一振が掠れた声を上げる。 相手に捕らえられている事実に、一期一振が怯えと、同時に確かな快楽を感じていることをその声音から聞き取って、燭台切光忠は更に一期一振の竿を手で煽った。 「ン、ぁ、あぅッ、」 「男の時と女の時と……、どっちが気持ちいい? ちぃちゃん……」 「ッ………、や、手を……ッはな、して、」 頬を真っ赤に染めながら、一期一振が首を横に振る。燭台切光忠の手中で一期一振の竿は硬化を始めていて、それが自覚できるが故に一期一振はいっそう怯えているようだった。 「や、あぁ、みつ、どの……ッ…」 異体だったと言えど、一たび燭台切光忠を受け入れた一期一振の体は、一期一振が発する言葉ほどには拒否感を見せず、燭台切光忠が与える快楽にすぐに身を弛緩させていった。 「ひぁ、ん、はぁ、」 己の腕の中でくったりと愉悦に沈む一期一振の体を目の当たりにしてしまっては、燭台切光忠は自分の欲求に逆らう理性を保てなかった。 「男の体のときでも……ちぃちゃんの此処は、可愛いんだな……」 燭台切光忠は平板になって突起も小さくなった一期一振の胸をそう称して、頭を落とし、舌先で乳首を突いた。 「! ンぅっ……! ひぁ……ァ…!」 乳首と竿、双方の刺激を受けて、一期一振が燭台切光忠の体の下でびくりと身を震わせた。 「ふ、硬くなってきたね……どっちも」 責めの合間に相手の反応をそう評して、燭台切光忠は更に一期一振を煽る。 「あッ……、あぁ、やァ……!」 体は快楽に捕らわれて、もはや逃げ出す事など一期一振は思いもよらぬようだった。刺激を受けて尖った乳首に軽く歯を当てると、痛覚ではなく愉楽が一期一振を悶えさせた。 「ンッ……、ひ、」 「きみが欲しい。ちぃちゃん」 情欲の灯った低い声で言い下ろして、燭台切光忠は強ばった体の中心を一期一振の腰に押しつける。 「ッ……、」 一期一振は頬を赤らめて、困惑の体で燭台切光忠を見上げてきた。 「し、しかし、私は今や男の身で、貴方を受け入れることはできぬ筈です、」 知らないのか、と燭台切光忠は隻眼を細める。そしてすぐ後に、太閤秀吉が男色に疎かったことを燭台切光忠は思い出した。一期一振も過去の主と同様に、男と男がどう睦み合うのかわからぬようだ。 「男同士でもできるよ……、此処を使えばね」 燭台切光忠は一期一振の剥き出しの尻に手を回して、菊座を指先で探り当て、優しくつついた。 「! ンっ、ぁッ、まさか、」 想外のことだったのだろう、尻に触れられて一期一振の身がびくりと撥ね、喉は驚いたように声を上げた。 「別にそう意外でもないよ。男と女でも……、此処を使うことはあるくらいだからね……?」 噛んで含めるように燭台切光忠が笑って言い下ろすと、一期一振はますます頬を紅潮させた。 「っ、で、ですが、女の壺と比べて……、余りに、狭すぎましょう……、その、貴方の…を、受け入れるには、」 「大丈夫。痛くないように、緩めて、広げてあげる」 「っ、ど、どういう意味で、ありますか、ッあ、」 言うより体に教えるほうが早いとばかりに、燭台切光忠は一期一振の体を俯せにひっくり返し、先ほどまで乳首を舐めていた舌先を後孔に宛がった。 「ッ! ンぁっ! や……、やめ、ッひぃ……ッ…!」 既に力の入らなくなっていた一期一振の体を、逃げられないように尻をしっかりと捕まえて、燭台切光忠は舌で蕾に唾液をまぶしていく。 「ひっ…あぁ……あぁあっ…!」 舌先で後孔を舐め回されて、一期一振の体がかくかくと震え、手が力なく床を掻いた。 「ふ……ここ…気持ちいい? ちぃちゃん……」 「ッ……、」 燭台切光忠に図星を突かれて、一期一振が息を呑む。 「あッ…、あぁッ、っもう、やめて……くださ……ッ、ぁ、そんな、不浄の場所を……っ、ひぃ……ッ…!」 「でも……、気持ち、いいんだろう……?」 舌を指に変えて燭台切光忠が一期一振の菊花を揉み込み、愉楽と唾液で緩んだ場所へゆっくりと指先を突き立てた。 「ッ……、ん、ひッ……! あぁッ!」 「つ……、」 指先に触れる内壁の熱さに燭台切光忠は息を漏らす。 圧迫は意外なほどに弱く、燭台切光忠の硬く太い指は、ゆっくりとながら着実に一期一振の孔を抉り、その裡を奥深くまで穿っていく。 「あッ、あぁ……やだっ……、ひ、みつ、どの、ッやめ……っ、はぁッ……!」 口では拒否の言葉を吐きながらも一期一振の体は弛緩したままだった。開きっぱなしの口からはしどけなく唾液が漏れ滴っている。体の別の場所とはいえ、一度はその身に燭台切光忠を受け入れたからだろう、ひくり、ひくりと尻を震わせながらも一期一振の後孔は燭台切光忠の指の関節を受け入れ、やがて指は根元までが一期一振の体内に埋められた。 「ひっ……ひぃ……ッ、」 埋まった指を左右に揺すると、蕾は拡がっていき、同時に、指先で奥を突くように探られる所為で一期一振は高い声を漏らした。 燭台切光忠が見下ろす間に、一期一振の白かった肢体はどんどんと熱を溜めて仄赤く染まっていく。 情欲に猛る燭台切光忠も、自分が頬を紅潮させ、体熱を高めていくのを自覚した。 「ああ……凄いな……ちぃちゃんの此処……蠢いて、僕の指を締め上げてくる……熱いね……」 「ッ……ンぁ、あぁ……っ知らな……、っは、や、もう……抜いて…くださ…、っ体が、おかしく、なる前に……っ…、」 「おかしくなるって? 『おかしい』っていうのは……、此処を弄られて、気持ちいい、っていうこと……?」 「っ…、ち、ち…が、違い、ます、ンぁうっ……!」 燭台切光忠を拒もうとしながらも、その体の下で一期一振が下肢をくねらせる。一期一振の裡で、燭台切光忠が指先を内奥に擦り合わせると、 「ッひぁあっ!」 一期一振が喉を開いて声を上げた。 「ああ……此処が、イイんだ……、」 「ッ、やぁ、やめて、や、みつ、どの、っ擦らないで、お願いで……ッ、ひぁ、ンぁっ…!」 燭台切光忠の指に間違いなく快楽で翻弄されて、一期一振が啜り泣いた。 「指より、もっといいものをあげるよ、」 一期一振の後背で自らの下肢を露出させ、竿を扱きあげて勃起させながら燭台切光忠は一期一振の菊座から指を抜いた。 「ひっ」 指の関節が抜ける排泄感に一期一振の背が粟立つ。 続いて己のとば口に押し当てられたのが一体何なのか、一期一振は殆ど理解していなかった。 「夕方、女のきみを満足させたモノだよ、ちぃちゃん……、」 「! ッ……い、ひィッ……や、やめ……みつ、どのっ、」 何をされるかを理解して一期一振が身を強ばらせる。 「っやめてください、お願いでっ……」 「恋人同士なら……こうして、繋がるのは、当たり前なんだよ……、っ、く………!」 一期一振の尻を大きな手で捕まえて、燭台切光忠は、己の指で開拓した一期一振の後孔へと屹立を突き入れた。 「ンぐ……っひ…、ひぃ……! っやぁッ、ァ…………!」 指とは比べものにならぬ圧迫を受けて、一期一振が苦しげなかすれ声を上げた。 「あぁ……、やっと……、男のきみを、手に入れた……、」 燭台切光忠が感慨深げに言い下ろしながら、更に奥深くへと一期一振を穿っていく。 「いッ、ひ、痛……ッ、や、やめ……ぁ、あ、あぁ……ッ……!」 割り開かれる激痛に白い背中を震わせて一期一振が悶える。 「力を抜いて……ちぃちゃん…、きみを、傷つけたくないんだ……ッ、ん、くっ……」 口ではそう言っておきながらも、一期一振が己に屈服するさまに一層の情欲と支配欲を煽られて、燭台切光忠は強い締め上げからくる放出欲求に耐えながら、一期一振の裡を最奥深くまで己の雄で抉った。 一期一振の尻の双丘が燭台切光忠の腰に突き当たる。 「ひぎっ……」 「っ、は……、仕方ないね……、女の子のときも、きみは最初辛そうだったし……、」 「や……やめて……、もう、抜いてください…、光殿……!」 「ちぃちゃん」 声の色を変え、繋がったままで上体を一期一振の上に覆い被せて、燭台切光忠は一期一振の寝乱れた淡木賊色の髪に触れた。 まるで彼の身を床に押しつけるように。 女身だったときのように、一期一振にどうあっても快楽を感じさせる必要はもはや無いのだ。犯しながら彼に言い聞かせ、戦国の頃の身分とは異なる優劣を一期一振の体に教え込んで、精神を肉体から懐柔していけばいい。 「少しは我慢できるだろう……? 恋人同士なんだから。そのうちに、こっちの孔でもちゃんと気持ちよくなれるよ」 「っ、うッ、く、」 燭台切光忠が軽く腰を揺らすと、一期一振が辛そうに声を漏らした。 「動くよ」 「! ッ、や、やめ、ッ! ひぁッ、は、ンぅうッ……!」 燭台切光忠はもはや一期一振の様相には構わず、己の欲求のままに一期一振の後孔を屹立で抜き差しし出した。押し開かれた蕾は女陰とは違う感触で燭台切光忠の竿を締め上げ、四つ這いになった一期一振を後背から犯す支配感と相まって、燭台切光忠の心は昂揚を重ねていく。摩擦の愉楽と相手への征服感が燭台切光忠の竿を大きく膨張させて、一期一振の内奥を更に深く、容赦なく抉っていった。 「ひィっ、はぁ、あぁッ! っや……ぁ……ッ、ンぁあッ!」 「ちぃちゃん……ちぃちゃん、……僕の……、」 自分が何を口走っているか自覚もなく、情欲に任せて燭台切光忠は一期一振の尻に己の腰を打ちつけ続ける。 後背から燭台切光忠の屹立で前立腺に刺激を受け続ける所為で、快楽より痛みが勝っていても尚、一期一振の竿は勃起を続けている。燭台切光忠は一期一振の背に己を覆い被せ、後ろから手を伸ばして一期一振の竿を掴んだ。 「ひッ……」 「ああ。さっきより大きくなってるね……ちぃちゃんも、気持ちいい?」 「! ッ、」 苦痛と屈服感しか感じない一期一振が激しく首を横に振るが、燭台切光忠は嘲るようにその反応を一蹴した。 「嘘つきだな……ちぃちゃんは……、僕にお尻の孔を攻められて、こんなにこっちを大きくしているくせに、」 「っ、く、そんな、」 「確かめてあげるよ……ちぃちゃんが正直者かどうか」 燭台切光忠は抽送を弱め、一期一振の裡に屹立を埋め込んだままで腰の動きを止める。 その上で、一期一振の竿を握った手を強く絞って、一期一振の竿を扱き上げ始めた。 「うっ、ひ、あ、ぁ、はッ」 容赦なく屹立を扱かれ、燭台切光忠の腕の中で一期一振が呻く。 「やぁッ、やめ、ッンぁ、っみつ、どのっ……!」 「こうして……僕をお尻に埋め込んだままで、きみが『男』としてイったら……、僕とのセックスが、気持ちいいっていうことの証明になるよね?」 「! ……ッ、そん…な……ッ、あぁ、ひぁッ! や……あぁ……! 手を、離して……! あぁッ!」 ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てているのは、今や一期一振の後孔ではなく、先走りを滴らせ勃起した一期一振の竿だった。 一期一振は体の全てを燭台切光忠に捕らえられたまま、為す術もなく放出へと追い立てられていく。 心の愉楽を伴わない扇情は、一期一振に屈辱しか与えなかった。 「や……あぁ! 気持ちよく、なんか……!」 「ふ……、こんなに大きくして、我慢しきれずに汁まで垂らしているのに」 「ッ……」 「もうすぐイっちゃいそうじゃないか……? 僕にお願いしてくれたら、きちんといかせてあげるよ……どう?」 「ンっ……く……、」 燭台切光忠の指摘の通り、後孔を犯される前から性刺激を受けていた一期一振の竿は今や限界近くまで膨張していた。あとほんの少し扱きを強めるだけで達してしまいそうだ。一期一振もさすがにそのことは自覚していて、しかし故になお一層、燭台切光忠に対して恥辱感を強めていた。 「うっ……、ン、くぅっ」 泣くような顔で、それでも首を横に振って、一期一振は歯を食いしばり、放出を耐えようとする。 「ふふ……強情だね……そんなところも好きだけど。……でも」 燭台切光忠は更に体を倒して、屹立で一期一振の後孔奥深くを抉り前立腺を突きながら、前に回した両手を使って一期一振の竿を絞るように擦り上げ、更には陰嚢までをも掴んだ。 「ひぅッ……、ぐ……、ひぃ……!」 喉から掠れた声を上げて一期一振の身が仰け反る。 「あ……ぁ……、みつ……どの……っ…!」 放出を強制するほどの圧迫に音を上げかけて、一期一振が懇願するように燭台切光忠の名を呼んだ。 「どんなに我慢しても無駄だよ。きみより僕のほうが、きみの体のことをよく知ってる。……無理矢理にでも、イかせてあげるよ。……こうして」 右手に握った勃起を、燭台切光忠が指で竿先を摘まんで、雁裏を強く擦り上げた。 「! ンぁ、あっ、あ……、や……、ひぁああっ……!」 表と裏からの刺激についに耐えかねて、一期一振は精を放った。 大量の白濁がぼとぼとと音を立てて床に滴り、敷床代わりにしていた燭台切光忠のスーツを汚していった。 「っ……ぅ、うう……っ」 一期一振は虚脱感と屈辱に打ちひしがれて嗚咽を漏らす。精を放ち終えても、燭台切光忠に後背から犯され身を捕らえられたままだった。 一期一振に強引に射精を果たさせた燭台切光忠は満足げに首を落とし、一期一振の項に口づける。 「やっぱり嘘つきだな……ちぃちゃんは……。イくってことは、気持ちよかったんだろう」 「ふっ……ぁ、うっ…」 もはや修正する気力もなく、一期一振は燭台切光忠の腕の中で力なく震えていた。 「嘘つきには、お仕置きを与えないとね……?」 燭台切光忠は一期一振の萎えた竿を離し、汗ばんだその尻を掴んで体を起こす。 ぐい、と一期一振の奥深くに屹立を突き込むと、 「あッ、ぐ……、」 射精によって脱力していた一期一振が身を揺さぶられて苦痛の呻き声を上げた。 それでも、挿入したての頃のきつい収縮力を後孔のとば口は既に無くしていて、今は燭台切光忠の竿を心地よく締め上げる程度の圧迫になっている。 「動くよ……今度は、僕が最後までする番だ。きみへの仕置き代わりにね」 「! っう、」 一期一振の臀部を両手で掴み直して、燭台切光忠は大きく腰を振り始めた。 「ひっ、ぅ、ンぐ、」 皮膚と皮膚が当たるたび、パンパンと乾いた音が高く鳴る。 下肢を大きく揺さぶられても、呻くばかりで一期一振は抵抗を見せない。「仕置き」と呼ばれて罰を与えられることに納得したのではなく、犯される無力さを痛感して、ただ打ちひしがれているのだろう。 燭台切光忠に完全に屈して、今や力なく抽送を受けるのみとなった一期一振の体を、燭台切光忠は思うさま貪った。 「ああ……気持ち、いいね……、堪らないよ、ちぃちゃん、」 繋がった下肢を大きく揺らがせながら、頬を火照らせ、息を喘がせて燭台切光忠は言い下ろす。 長い前髪と眼帯に半面を隠された顔は支配者の笑みを浮かべている。勃起した竿で一期一振の後孔を抜き差しする都度、燭台切光忠の顎から汗が滴って、一期一振の剥き出しの肌に落ちていく。 「城に戻ったら、主くんに報告しないとね。僕とちぃちゃんは恋人同士になって、きみのお尻を使ってセックスをしました、って」 「ッ…! うっ、ンくぅ、」 「僕たちがこんないやらしいことをする仲だって、城の藤四郎くんたちが知ったら、どんな顔するかな。楽しみだね、ちぃちゃん」 「っ、ン、や、」 弟たちに言いふらすと言われてようやく一期一振が拒否の様相を見せる。 「私たちが、恋仲などと……! 一度限りの逢瀬の、言葉の綾だった筈です……! ッ、ひっ」 「だって、恋人同士でないと、こういうことはしないんだよ、ちぃちゃん、」 わざとらしく後孔の奥深くを抉って見せながら、燭台切光忠が意外なふうを装って応答した。 「ああ、もう、きみの中、ぐずぐずだよ……、ふ……、こうなると、女の体でセックスしてるときと、あまり変わらないね……?」 「んッ、ひうッ」 勃起を強めた燭台切光忠の竿が一期一振の体内で暴れ回り、一期一振は内奥から前立腺を繰り返し突かれて、再び竿を硬化させ始めていた。 「あ、こんな、無体をはたらいておいて……っ、貴方と、恋人同士になんか……! ッ、あぁッ!」 「でも、もう、元には戻れないだろう……? きみの体は僕を受け入れてるし、僕の体はこうしてきみの体の味を知ってしまったんだから……、僕たちは、ずっと恋人同士で、こうしてセックスしていくんだよ。城の中でも、外でもね……」 「っ……、やぁあ……、嫌、です……ッ…!」 一期一振が悲嘆に暮れた声を上げた。 「きみの寝所に夜忍び込む弟くんたちに、思い知らせてあげないと……、今後、きみと同じ布団で寝るのは僕だけだってね。それとも……、夜、きみの元にやってきた彼らに、僕らの睦み合いを目の前で見せてやるほうが、効き目があるかも知れないな。きみの体が誰のものか……」 「ンッ……私、は……誰のものでも……ありませ……っ、」 「違うよ」 低く冷たい声で燭台切光忠は後背から言い下ろした。 所有欲と支配欲に満ちた傲岸な響き。 「きみはもう僕のものだよ。……今……、それを……わからせてあげるよ……!」 言うなり燭台切光忠は一期一振の尻を乱暴に掴んで、自らの放出の為に二、三度強く腰を揺すり立てた。 「ほら……出すよっ……ちぃちゃん……、きみの、中に………!」 「! っ、ひぃッ……! ぁ、やめて、やめてくださいッ……!」 一期一振の懇願を無視して、燭台切光忠は深く突き込んだ竿の雁裏を一期一振の狭いとば口で扱き上げるように抜きさした。そのまま腰の動きを止めると、一期一振の体内で限界に達していた己を爆発させる。 「くっ……!」 ドクドクと後孔内で燭台切光忠の雄が脈打ち、一期一振の裡に精が迸り、汚していく。 「ひっ、アッ、あぁ、あ……! や、あぁ………!」 直腸を逆流してくる熱にびくびくと身を震わせて、一期一振が喘いだ。 燭台切光忠は一期一振の尻たぶを強く掴んだまま、全ての精を一期一振の後孔に撒き終える。 「……っ、ふ……、は……、」 射精を終え、一期一振を犯しきった満足に燭台切光忠は口角を上げて息を吐く。 硬さを失った竿を一期一振の後孔から引き抜くと、激しい抽送によって無残に散らされた蕾の中央には暗渠が見えた。やがてその口から、赤みの混じった白濁がとろりと漏れ滴ってくる。 「ふ……やっぱり、きみを傷つけてしまったね……申し訳ないな」 一期一振の後孔が出血しているのを見て燭台切光忠がそう評した。口では謝罪していても、声には悪びれる素振りもない。 「ッ……」 痛みと屈辱にただ呻くばかりの一期一振の震える体。それを、燭台切光忠は転がして仰向けにさせ、泣き崩れた秀麗な顔を隻眼で覗き込んだ。 「ぅっ……は……、みつ、どの……、どうして、こんな……む、ンぅっ…!」 愚痴のように弱々しく咎めてくる一期一振の言葉を、燭台切光忠は接吻で塞いだ。 「ンっ、ンむ、ぅ、ふぁ……ぅ…っ……」 燭台切光忠の唇から逃れようとする一期一振の後頭部を強く掴んで動きを封じ、燭台切光忠は支配的なキスを長く続けた。 「ン……、ぅうン……っ!」 一期一振の、両目をぎゅっと閉じた拒否の表情が至近から窺える。征服を更に思い知らせるように、汗ばんだ裸身を相手の体に擦りつけると、一期一振はびくりと震えて行動で反発を示し始めた。 「ッ……はな……、放して、ください……っ!」 燭台切光忠の口を唇からもぎ離し、華奢な手を燭台切光忠の厚い胸板に押し当てて、一期一振は犯した者の体を必死で押し戻そうとしてくる。 「私の身を辱めて……、もう、既に気は済んだでありましょう……! 燭光殿……!」 自分への呼称が余所余所しいものに戻っていることに、燭台切光忠は気がついた。 「みつ、って呼んでくれなきゃ。ちぃちゃん。言ったよね?」 「っ……、」 一期一振は拒否するように首を横に振り、尚も言い募った。 「あ、貴方との、体を結ぶような関係は、もう終わったのです……! 男としての彼我の差を思い知らせる為だけに私を犯すような真似をして、それを恋だと強弁されても、私にはとうてい許容致せません……!」 「―――――」 燭台切光忠は動きを止めて捕らえたままの一期一振を見下ろした。 一期一振の指摘は燭台切光忠の彼への情欲のうちの、一部の真実を的確に突いていた。 一期一振をものにしたら男を上げることができる。それは確かだ。 一期一振を犯せば、自分が彼よりも優位に立つ存在だと彼に示すことができる。 自分が一期一振ほどの名刀ではないこと、天下に覇を唱えた為政者の所有刀ではないことからくる劣等感を、刀剣男士という存在でなら覆せる。 「―――ふ」 自嘲するように、燭台切光忠の口から笑みが漏れた。 「きみは本当に人が良くて、世間知が無くてもいいほどに、氏育ちもいいんだね……」 「……、ど、どういう意味でありますか……、」 燭台切光忠は笑ったまま一期一振の顎を捕らえ、鬼灯の実のように艶を帯びて光る隻眼で彼を見下ろした。 「人間がする『恋』や『好き』には。そういう感情も混じるものなんだよ。……濃さは人それぞれだけどね」 「………、な……、」 何を言っているのかわからない、と一期一振が返答しようとしたとき、 「征服して所有する。愛情を持って可愛がるのと、表裏一体の感情なんだよ……もともとね。きみだって、弟くん達の世話を焼くのは、彼らがきみの一族に帰属するからだろう。彼らは鶴の一声できみの言うことに従う。きみが彼らを愛するのは、きみが彼らの頭領、すなわち支配者だからだ」 「…………、そ、そんなことは、」 一期一振が驚きと怯えに琥珀色の目を見開く。燭台切光忠はその様子には構わず話を続けた。 「まして僕らの前身は刀剣だ。所有されて愛でられ、鑑賞され、戦場では只一人の腰に下げられて人の肌身によって温められ、彼によって敵を屠り武功を立てる。そうした体験を経て、今は人の姿を取っているんだ……親しくしたい相手を、独占して所有したい、隷属させたいと思うのは、当然じゃないか……?」 「ッ……わ、私は……、貴方に隷属したいなどと思ったことは……、」 燭台切光忠の隻眼が、毒を籠めて橙色に輝いた。 「さっき竿まで舐めてくれたじゃないか。女の姿で、だったけど」 「………………、」 自らが為した行いを「隷属に該当する」と指摘されて、一期一振が動きを止める。 「……あ、あれは……、貴方に、私を抱いていただかねばならなかったから、そうしただけで、」 「本当に?」 燭台切光忠の口の端が吊り上がる。 「あの瞬間既に……、僕に従いたいと思っていたんじゃないのかい? 互いに舐め合うよりも、遜って自分だけが奉仕することで、きみは自らを僕の下に置いてしまったんだ」 「な、そ、そんな、」 「確かめてみようか」 燭台切光忠の上擦った声に一期一振が危惧の表情を見せたその眼前に、燭台切光忠は身を起こして己の腰を突き出した。 「っ……、なにを、」 「ちぃちゃん。舐めて」 「ッ、」 早くも熱を取り戻し始めた竿を前にそう言い下ろされて、一期一振が恐怖と拒否の面差しでこくりと唾を飲む。 それは最前一期一振を苛み犯した竿だった。出血するほど後孔を抉り、拭ってもいないそれは、一期一振の血と体液、燭台切光忠の放った精に汚れている。 とうてい口に含めるようなものではなかった。だが、 「できるだろう……さっきもできたんだから」 支配欲に熱く掠れた声で燭台切光忠が畳みかけ、更に竿を顔に近づけてくる。 「やッ、ぁ、」 逃れようと後じさりかけたところを頭を大きな手に捕らえられ、一期一振は、再び燭台切光忠の竿を口中に含まされた。 「ぅッ、ン、むっ! ぐぅッ……!」 今は自発性など一切無く、後孔のときと同じように、ただ燭台切光忠の竿に口中を犯される。 一期一振の口中は夕刻前と同じく、熱く濡れて燭台切光忠を受け入れていた。 「ああ……いいね……、歯を、立てないでよ、ちぃちゃん……、」 快楽に浸る燭台切光忠が切れ切れに喘ぐ。 「ぅッ! ふぅ……ぅ…!」 息苦しさと屈辱感からだろう、頬を真っ赤に紅潮させ、一期一振の目尻からは涙が湧いていた。 忽ちのうちに口中で竿は勃起を始め、燭台切光忠は一期一振の頭を手で捕らえたままで、竿先を舌になすりつけ、己の快楽を求めて腰を揺する。 「ンっ、ん、ぅ、ンむぅ……っ」 「今度は……、こっちの口でも、最後まで、してもらおうか、ちぃちゃん……、っふッ……、」 大きく開かされた一期一振の両唇の間から、唾液と、燭台切光忠の先走りの混じった液体が溢れて、一期一振の顎を滴っていく。 「きみの全ての穴を汚したら……、きみにも、僕との関係が飲み込めるだろう」 「! うッ、ぐ、」 「城に帰っても……、ずっと恋人同士だよ、ちぃちゃん……、もっともっと、愉しくていやらしいことを教えてあげるよ」 「ッ………、」 顔を歪めて琥珀色の瞳を涙に滲ませ、一期一振は燭台切光忠を見上げる。 一期一振を屈伏させて手に入れた万能感に浸りながら、燭台切光忠は、 「出すよ」 短く言い下ろして、一期一振を汚しきる為に二度目の吐精をその口中に果たした。 |
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